三井住友銀行
工藤禎子 専務執行役員
ファイナンシャル・ソリューション本部長

富田 日本を代表する金融グループとして幅広い業務を手掛けていますが、プロジェクトファイナンス分野の位置付けはどのようになっていますか。

工藤 当行にとってプロジェクトファイナンスは単なるいちプロダクトではなく、世界のさらなる発展に向け社会的にも取り組む意義が深く、銀行としての使命を果たせる中核プロダクトだと考えています。

 昨今は、インフラ分野における資金調達手段が多様化する中で、お客さまの事業展開に当たって単純なローンの出し手としてだけではなく、証券市場における資金調達や資産買収のアドバイザリーなど、さまざまな形でお客さまを支援させていただく場面が増えています。

 当行としては長年の経験と実績を生かしながら、必ずしもプロジェクトファイナンスという枠にとらわれることなく、幅広いサービスの提供を心掛けて取り組んでいます。

リフィニティブ・ジャパン 富田秀夫 代表取締役社長

富田 調達手法についてはプロジェクト債の台頭があり、資金の出し手も機関投資家やファンドの積極的参入など多様化が進んでいます。これに対応して、SMBCでも債券の引き受けやアドバイザリー業務など、金融グループとして取り組みの幅を広げていますね。

工藤 ローンの出し手という伝統的な銀行業務にとどまることなく、FAを務めることで、お客さまとの接点が単なるレンダー(資金の貸し手)とは比較にならないほど濃密になることは事実であり、お客さまを深く知り、よりニーズにマッチしたサービスをご提供するという効用は大きいと思います。

 機関投資家の幅広いニーズにお応えすべく、グループ会社のSMBC日興証券におけるプロジェクト債による調達のサポートなど、グループ一体での取り組みも推進しています。場合によっては、当行グループの枠組みを超えて地場開発銀行・金融機関と協調して地場通貨での資金調達ニーズに応える枠組みを模索するなど、お客さまのニーズやマーケットの多様化に合わせて、柔軟かつスピード感を持って取り組める体制構築に努めています。