映画祭では、ブランデッドムービーを広告としてではなく、映画として評価する。それはなぜなのか。
別所 広告と映画がジャンルを超えて寄り添い始めたためです。音楽を宣伝するためのミュージックビデオやトリセツムービーが受け入れられているように、広告がスペックを語るだけでは企業の思いが消費者に伝わらず、シネマチックに変化していく必要があるのです。クリエーターサイドの視点では、広告の中にある物語性とか映画的要素を評価されることに喜びを感じているのではないでしょうか。
僕は主宰者であるため応募作品を評価する立場にはありませんが、あえて言えば映画祭としては、広告性を議論するのではなく、作品としての物語性、クライアントが求めていた哲学やメッセージがきちんと込められているか、それがどう観客に伝わったのかを重視しています。
日鉄興和不動産は別所代表の活動にスポンサー企業として参加し、映画祭では会場として自社の赤坂インターシティAIRを提供している。今泉社長はブランデッドムービーをどう捉えているのだろう。
今泉 私どもはスポンサーではありますが、別所代表のショートフィルムの活動に共感を覚え、パートナーとしての気持ちでその活動を応援させていただいています。私は前職の金融機関時代にさまざまな業界を担当させていただきました。その中でも2000年前後に情報通信業界を担当し、インターネットの台頭を目撃したときの印象は強烈でした。そのとき感じたのは、インターネットの強みは、国籍や年齢に関係なく、あらゆる人間がアクセスできるネットワークであるということです。インターネットは、資金力が乏しくても、いろいろな発信ができる。ショートフィルムは、こういったインターネットと非常に親和性が高い表現手段だと思います。
昔のCMは商品を売るために商品名や社名を連呼することが常でしたが、ブランデッドムービーでは企業の世界観や目指すところをまず掲げて、消費者に物語性を持って語り掛ける手法を取っており、これからの時代に欠かせないものになると前々から興味を持っていました。そんなとき、縁あって別所代表との接点が生まれたのです。