「ユースエール認定企業」という言葉を聞いたことがあるだろうか? 若者の採用や育成に積極的で、雇用管理の状況も優良な企業だと、厚生労働大臣が認定した企業のことだ。中小企業にとっては、求職者にPRできる良い機会となり、求職者にとっては、隠れた優良企業を探す良い指標となる。実際に認定された企業を訪ねて、人事担当者とそこで働く若手社員に職場の様子を聞いてみた。
「ユースエール認定制度」は、日本の優良な中小企業を公的に認定するため2015年施行の若者雇用促進法に基づいて創設されたものだ。現在、日本全国に767社の「ユースエール認定企業」(2020年11月現在)が存在する。
認定された中小企業は、ハローワークなどで重点的PRを実施できる、認定企業限定の就職面接会などへの参加が可能になる、公共調達における加点評価などのメリットがある。何よりも、国からの“お墨付き”を得たという信頼性が高くなる。求職者にとっては「若者の教育に熱心な会社である」とか、「ワーク・ライフ・バランスを大切にしてくれる企業である」という条件がクリアされた企業であることが分かり、会社選びの指標にできる。
認定企業となるためには、新卒正社員の離職率が20%以下、月平均の所定外労働時間が20時間以下、有給休暇の年平均取得日数が10日以上または取得率が70%以上など、中小企業にとっては比較的高いハードルをクリアする必要がある。その厳しい条件があるからこそ、制度への信頼性が増すのだ。