今回取材した「ヨコソー」は横須賀市森崎に本社を置く、創業113年目を迎える老舗企業である。マンションや集合住宅などの大規模修繕工事を事業内容としており、専業としては売り上げランキングで全国4位(「リフォーム産業新聞」・2020年1月27日付発売号)という実力を持つ。1都3県・6拠点で事業を展開し、社員数は196人(2020年10月時点)。マンション管理組合や建物オーナーからの直接の発注以外にも管理会社や設計事務所と連携しながら、年間で約160の現場をこなしている。
そのヨコソーが「ユースエール認定企業」として認定されたのは19年2月。同社経営企画部人事課の川部高志サブマネージャーは、認定を受けようと思ったきっかけについて、次のように語る。
経営企画部 人事課
川部高志 サブマネージャー
「当社は以前から若者の採用に積極的で、非建設系の学生を教育して現場を任せるなど、人材育成にも力を入れてきました。“建てない建設業”という当社のスローガン通り、新築物件の建設を手掛けないため、作業時間は昼間に限定され、有給休暇の取得率も高くなっています。そのため定着率も高く(過去3年離職率はわずか3%)、建設業の中でも就労環境の良い会社であると自負しています。
けれども、これまでは情報発信が不十分で、就労環境があまり良くない中小の建設業、という一般的なイメージで見られがちでした。制度の認定を受けてからは、国からの客観的な評価を得たことで、学生や親御さんに与える信頼性が向上したことを実感しています。当社は技術系社員の高卒採用もしているのですが、進路指導担当の先生の受けも圧倒的に良くなり、職場見学者の数も増えました」
職場見学者に渡すヨコソーの資料。その中にはユースエール認定制度についてのチラシも入っていて、ユースエール認定企業であることもしっかりアピール!
認定を機会に、地元の新聞や業界紙、商工会議所からの問合せや講演の依頼もあり、露出度も高まった。18年4月からは、経済的に負担の大きい学生のために、奨学金返済支援の手当も創設。現在はユースエール認定企業であることを積極的に打ち出しながら、新卒の採用活動を続けている。
「採用に当たって気を付けている点は、加点方式で良いところを見つけ、伸びしろを大切にしていること。また変化の激しい時代に対応するため、あえて同質ではなく、個性に幅が出るような人材採用を心掛けています。情報発信のしにくい中小企業にとって、ユースエール認定という第三者の評価を得られるのはとてもありがたいこと。認定基準をクリアするのはたやすくはないのですが、確実に効果のある制度だと思います」(川部サブマネージャー)