社会正義の実現には
経済的基盤の構築が不可欠
データの一元化や業務の効率化などが可能なLEALAだが、弁護士事務所の経営者という視点で見たときに、データ分析の点でも優れていることを中里氏は強調する。それぞれの弁護士が入力したデータがリアルタイムに集計されて表示されるため、売上や相談件数の増減が一目瞭然だ。LEALA導入前は、何となく今月は売上が少ないと感じても、集計して目標に達していないと判明するのは1カ月以上過ぎてからだった。LEALAではリアルタイムのデータを見られるので、相談件数が落ちていれば広告を強化するなどの対応策が素早く打てるのだ。
拡大画像表示
また、事務所を発展させたいと考えたとき、どういった分野の相談が増えているのかなどを分析する、マーケティングツールとして利用できることは、弁護士事務所の経営にとって重要だと話す。
「弁護士には、中里先生のように経営的視点を持つ人が多くありません。しかし事務所の経済基盤がしっかりしていなければ、弁護士の使命である社会正義を実現できません。弁護士の育成や教育、顧客のサービス向上なども考えて、組織を動かしていく経営弁護士のような人がいるべきだと考えています。そのためには、事務所を経営する弁護士を助ける、データを扱えるツールが必要です」(大橋氏)
もちろん、経営弁護士でなく、事務所に所属するアソシエイト弁護士であっても売上感覚は必要だ。一般的に弁護士の収入は売上で決まる。売上や進捗が可視化されることで、効率を上げて短期間で解決しようという意識がより高くなる。
「事務所の売上や自分の生活のためももちろんですが、早期解決によって依頼者もストレスから早く解放され、満足度が上がります」(中里氏)
大橋氏は、弁護士もビジネス感覚を持つべきという考えだ。弁護士業界にも競争があり、顧客サービスの充実や従業員の満足度向上も重要になってくる。LEALAは、ビジネスツールのSalesforceがベースになっているため、その点でも強みを発揮する。
「弁護士の場合、相談者が見込み顧客といえるわけですが、LEALAでは見込み顧客になるところから、受任してその人が顧客になり案件がスタートしクロージングするまでの流れを見ることができます。それぞれの段階の課題も可視化されているので、頭が整理され、新人弁護士も仕事の進め方を理解できるのです」(中里氏)
LEALA導入の投資対効果は、事務所の規模が拡大すればするほど大きくなる。サービスを開始して約1年だが、多くの法律事務所が導入し始め、実際に事務所規模が拡大しているケースも多い。また、小規模や個人事務所であっても、今後の規模拡大や司法IT化の流れに対応するために導入している先進的な事務所もある。
現状で変革の必要性を感じていなかった弁護士も、世の中のDXの波に乗り遅れないよう、今こそ情報収集に努めるときではないだろうか。