投資戦略もデジタル重視へ
デジタルPF戦略を加速させていくためには、投資戦略に対する考え方も変えていく必要がある。増田取締役は「物流企業のこれまでの投資は土地や倉庫、車両といった有形固定資産が中心でしたが、今後はデジタル投資などの無形固定資産がより重要になってきます」と指摘する。倉庫は保有しなくても賃借したり、流動化することでオフバランス化することが可能だが、デジタル分野は直接投資でなければ恩恵にあずかることが難しい。「物流企業である以上、有形固定資産は大事ですが、必ずしもすべてを自社保有する必要はなく、バランスを見ていく必要があります。むしろ今後は、PFをマネージしていく仕組みに投資していくことが肝要です」(増田取締役)という。
物流を超えた視点から価値を生み出す
増田取締役は「デジタルPFを展開する上で、狭義の物流の範囲だけで捉えるのではなく、商流などを含めたSC全体を俯瞰する視点が大事になります。原材料調達から製品が売り場の棚に並ぶまでのトータルSCの効率化について、日本通運が私事(わたくしごと)として考えられるかが、成否の鍵を握ります」と語る。「その中で当社の強みは、顧客層の広さ。特定の産業に絞らず、幅広いお客さまにサービスを提供していることで、PF戦略を展開していく上での優位性を発揮できるはずです。新たな社会のインフラを構築し、持続的に提供していくことが、当社の使命と考えています」(増田取締役)と自信を見せる。
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