驚異的来館者数を実現した
道の駅の「武器」
ナショナルブランドの大手企業に限らず、地方の中堅・中小企業でもdポイントの仕組みを活用して商売の活性化に成功しているケースは少なくない。山形県米沢市にある「道の駅米沢」も、そうした施設の一つである。
18年4月にオープンした「道の駅米沢」は、県外からの訪問客にとって米沢観光の起点になる場所で、市内からも遠くなく、県外の訪問客と市内の買い物客の両方を受け入れられる立地だ。施設は、お土産コーナーやフードコート、米沢牛レストランなどで構成されているが、その立地を生かすためにオープン以来、重要な経営課題としてきたのがリピーター客の育成だった。坂川好則駅長はリピーター客の育成にはポイントカードが有効だと考えていた。
「県外からお越しになるお客様も多いので、全国で利用できるdポイントはお客様のメリットも大きくなると考えました」(坂川駅長)
dポイントの利用開始は19年10月。「驚かされたのは、お客様の属性を把握できるデータが充実していることです」と坂川駅長は話す。より充実した顧客情報を得たいという思いから、dポイント導入前は、顧客を知ろうと駐車場にテントを張って係員を常駐させ、1台、1台ナンバープレートをチェックしていた。しかし手間も費用もかかるわりにはデータはばらつき、結果的に母数が少ないデータでの評価に限界を感じていた。
dポイント導入後、顧客の属性がはっきりと見えてきた。福島県からの訪問客を3割と予測していたが、実は半数に上っていた。そして、こうした訪問客の多くがお土産コーナーでdポイントを利用していることも分かった。
「お客様からは『ここでも使えるのね』という喜びの声をお聞きします。dポイントを利用してお土産をもう1品買うか、もうちょっと高いお土産を購入いただいています。一方、地元の方はお手頃な価格の農産物をdポイントだけでお支払いいただくことが少なくないようです」(坂川駅長)
道の駅米沢では、レジで「dポイントカードはお持ちですか」と声掛けをするなど、dポイントの利用を促す取り組みにも力を注いできた。「お客様の姿が見えるので、さまざまな販促プランを練られます。地元にいるNTTドコモの担当者がメールメディアの活用策や販促プランの企画に力を貸してくれるのも、私たちにはありがたいことです」と坂川駅長は語る。
21年2月27日、道の駅米沢はオープンから3年足らずで来館者数500万人を達成した。驚異的と言ってよい早期の大台達成だった。旅行サイト「トリップアドバイザー」では、「旅好きが選ぶ!日本人に人気の道の駅ランキング」で上位進出も果たした。それらは、想定していたリピート戦略が着実に奏功していることを物語っている。
dポイントは今や、中堅・中小企業でも最先端のテクノロジーに裏付けされたデータ活用ができるインフラ的な性格を帯びているようだ。
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