デジタルとリアルの双方を俯瞰し
社員の先頭に立ってチャレンジを続ける
──ポストDX時代を見据えて、日本の企業への提言はありますか。
足立 私からは2点あります。1点目は、デジタルだけでなくリアルも含めた俯瞰を意識することです。どのようにビジネスを成長させ、また変革を進めるのか。それを広い視野で俯瞰していくと、DXといいつつ、実際にはリアルの部分がかなり大きなウエイトを占めていることがわかるはずです。デジタルだけを特別視せず、リアルも注視しながら組織や業務の変革に取り組むことが大事です。
2点目は、マネジメントの人たち自身が変わることです。次々に変化の波が押し寄せる中、マネジメント層が果断に変化を選択し続けないと会社は変わっていきません。前例のない経験、仕事では会うことのない人々、異なる業界などに触れる経験を通じて、いま世の中で何が起きているかを理解する。そうした変化を、自分自身に課してください。
もし自分ができないのであれば、他の人に代わってもらうことも必要です。経営者は、会社にとってのベストを選択しなければなりません。自分が変革を率先してリードするのにベストな人材でないと思ったら身を引くのもマネジメントの務めであり、責任です。
今井 テクノロジーが経営や業務の中に入り込んでいるのは、動かしがたい事実です。ですから、DXのような変革はこれからもずっと避けて通れません。経営者は、その変革のリーダーシップを執るためにも、自分で関わり、自分からすすんで行動することが大切です。
私がこれまで関わったプロジェクトの中にも、DX推進室をつくったものの担当役員や室長に任せ切りで、社長は報告を受けているだけ、といったケースが多々ありました。これから改革に取り組む経営者は、自分自身が積極的に関与し、周囲にメッセージを発信していってください。
最後にもう一つ。DXであれ何であれ、「トランスフォーメーション」とは変えていくこと、新しい何かにチャレンジすることにほかなりません。当然、失敗することも多いでしょう。でも失敗したら、その失敗から学ぶサイクルをスピーディに回せばいいのです。社員が何かに挑戦して失敗しても、マネジメント層がそれを許容することが重要です。そうやって「失敗を恐れずチャレンジしなさい」とプロモートすることが、DX推進には何より大事です。経営者の方々は、ぜひ社員の先頭に立って挑戦を続け、本当の意味でのDXを実現してほしいと願っています。
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