データ活用はDXの核心的テーマだが人材獲得の前に企業はやるべきことがある

ビジネス変革に必要な
3つのタイプの人材像

 では、データサイエンティストへの理解とコミュニケーションが進めば、DXは進むのだろうか。野村氏は、「ビジネス変革のために必要な人材は、データサイエンティストだけではありません」と釘を刺す。ビジネス変革に必要な人材について、Ridgelinezでは「ビジネスアナリスト」「データアナリスト」「データサイエンティスト」の3つを定義している[図表1]。

「もちろん、この3つを兼ね備えたスーパーマンは存在しません。それぞれのスキルを持った人材を配置し、チームとして活動できる仕組みづくりが必要です。適切な人員の配置を行うことで、ビジネス変革に向けてそれぞれの専門家の力量が活きてきます」(野村氏)

 ここで渡瀬氏は、人材獲得を始める前に、まず自社の現在の座標と、DXによって実現する目的を明確に見極めるべきだと付け加える。たとえば、データサイエンティストには「Business Problem Solving」(ビジネス課題解決能力)、「Data Science」(データサイエンス)、「Data Engineering」(データエンジニアリング)という3つの能力軸があるが、自社に必要な能力は何か、あるいは各能力を持った人材をどれだけ獲得・配置すればいいのか。それは企業によって異なる。自社にとっての適材を見極め、適所に配置しなければ、よい成果にはつながらない[図表2]。

「常に最新のAIの論文を読み込み新しい技術を適用する、また複雑かつ新しいモデリングを実施し続ける人材が必要な企業は多くありません。一般の企業であれば、自社で育成する機能を見極め、それ以外は外部のITサービス企業やコンサルティングファームに必要に応じて依頼するのが現実的といえます」(渡瀬氏)

 優れたデータ人材の獲得はDX成功の重要なポイントだが、それ以上に自社に合った人材の見極めが不可欠なのだ。

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