「フジトラ」を日本型DXの成功モデルに。富士通が変われるなら日本企業は変われる

──そのためにトップダウンとボトムアップの双方向でコミュニケーションできる、「全社DXプロジェクト体制」を構築しました[図表2]。

 その一つとして、「DXO Jam」という意見交換の場を設けました。フジトラではCEOの直下にDX Designer(DXD)という専任者によるグループがあり、各事業部門のDX担当者であるDX Officer(DXO)とともにDXを推進する役割を担っています。「DXO Jam」では両者が月に1回集まり、いろいろな課題について意見交換やアイデア出し、議論を行っています。また3カ月に1回は「フジトラJam」という全社に枠を広げた意見交換の場も用意しました。社員なら誰でも参加できるイベントで、全社に生中継されます。いずれも誰かリーダーが一方的に意見や情報を発信するのではなく、常にみんなで参加して意見を交わすという点が大きな特徴です。

──もう一つの「データを武器に」では、難易度の高いプロジェクトに挑戦していますね。

「グローバル・シングルERP」です。文字通り、グローバル/グループ全体でただ一つのERP=統合基幹業務システムを導入し、経営・業務・ITが三位一体となって、全世界で標準化された経営と業務を実現しようというものです。

 従来のように、システムが国やグループ会社ごとに存在すると、経営・業務・データ活用、いずれも全体最適が実現できません。いかに標準化され整合の取れたデータをグループ全体で共有し活用するかは、今後の経営の競争力に直結する課題です。富士通はすべての主要な業務を完全に標準化し、経営・業務・組織の全体最適を実現し、標準性の高いデータをもとにデータ駆動型の経営への進化を目指します。

 技術的にも組織的にも極めて難易度の高い試みですが、だからこそ富士通のような会社が先陣を切ることに意味があると思っています。時田がよく「(ビジネスは)一番風呂に入れ」と言うのですが、その一番風呂に富士通が入ってみて、ちょうどいい湯加減を見極めたうえでお客様にも提案しようというわけです。

──Ridgelinezがフジトラで果たす役割はどの辺りにありますか。

 一つはTMO(Transformation Management Office)の役割であり、先ほどのDX Designerに含まれます。もう一つは、富士通グループにとっての外部に開かれた場所、言うなれば“出島”としての役割です。フジトラには、300近く変革のテーマがありますが、他の富士通グループに先駆けてRidgelinezで取り組むことで、変革の最先端を走り、フジトラを牽引してもらうことを期待しています。

新着
業界
学び
特集
書籍
業界
製造業 銀行・証券・金融 保険 建設・不動産 コンサル・士業 商社 運輸・物流 IT・通信 AI・テクノロジー エネルギー 医療・製薬 食品・農業 小売・外食 サービス・エンタメ メディア・広告 スタートアップ・新規事業 教育 財閥・学閥 予測・分析
学び
経営・戦略 マネジメント ビジネス課題 ビジネススキル 営業・マーケティング マネー・投資 相続・節税 年金 キャリア・働き方 受験・子育て 教養