DXとは正解のない問いを考える道程。アーキテクチャはその道を拓くカギになる

Ridgelinez
Principal
岩本昌己 氏
20年にわたり、富士通およびグループ会社にてクライアントデータの分析によるデータドリブン経営への戦略立案、システム提案、ソリューション企画に従事。2019年よりDX領域におけるデータ利活用、アーキテクチャ実装部門の統括業務を経て現職。

DXを推進する際に、ITが変革をドライブするのは言わずもがなではあるが、ITに焦点を当てすぎていないだろうか。変化が当たり前となる時代に、ITの目線だけではDXは立ち行かない。ビジネススキーム・組織・システムから関係する人のマインドセットまで、全体的なアーキテクチャの視点を持つことが重要なポイントとなる。Ridgelinez のプリンシパルであり、アーキテクチャデザインのエキスパートとして多くの実績を持つ岩本昌己氏が、ポストDX時代を生き抜くアーキテクチャ検討のための視点を提案する。

DXに共通の模範解答はない
一からでは間に合わない

 先行きの不透明さが増す中、どこに向かってDXを推進するべきか。これまでデータやシステムアーキテクチャという側面から、さまざまな企業のDXをサポートしてきた岩本昌己氏は、「DXは正解がない問いのようなもの。それゆえに現在地を把握することや、目指しているゴール自体が正しいのかどうかという認識すら難しい」と語る。

 とはいえ、手探りながらも果敢にDXに着手している企業も多い。最重要課題の一つとして挙がるのは、ITシステムの改革だ。クラウド活用の促進、API連携による外部システムやサービスとの連携などはその代表例だが、システム開発をアジャイルに進めることや、アプリケーションをコンテナ化して変化に強いシステムを構築するなど、取り組み方にも工夫が必要だ。

 一方、過去のシステム資産(レガシー)が足かせになっている企業も多い。状況を好転させるには、トップが戦略的に投資を決断し、システムを刷新することも必要になるが、岩本氏はやみくもにレガシーを一掃するといった思考は、誤った判断を招くと示唆する。

「同じような規模・構成のレガシーシステムを持っている企業でも、業種・業態が異なれば、モダナイゼーションの戦略は異なります。たとえば流通業でも、ECサービスを前提とした戦略の企業なら、クラウド上にすべての店舗が載っているような構成など、基幹システムも最初からECにフォーカスしたアーキテクチャに最適化されているでしょう。一方、リアルな消費者接点が中心の企業では、店舗販売戦略とEC戦略が併存していてコストや利益率も異なり、単純な比較や合算はできません。DXはスタート地点からして企業ごとに環境が異なるため、共通の模範解答などないのです」

 たしかに、企業の規模や業種・業態によって方法論は異なる。しかし、各社各様の事業環境に合わせたDXをゼロベースで検討する労力は並大抵ではない。同時に時間もかかりすぎ、変化のスピードに付いていけない。

「この課題を解決するカギの一つがテクノロジーであり、アーキテクチャです。私たちは、ご支援する数多くのお客様をいくつかのカテゴリーに分類したうえで、そのカテゴリーごとに有効なテクノロジーや経営戦略に関わる手法の掛け算によって、多数のDX方法論のバリエーションを創り出しています。この豊富なラインアップから個々のお客様に最適なものをチョイスし、カスタマイズすることで、スピード感を持ったDX推進が可能になります」

問い合わせ先

Ridgelinez株式会社
〒100-6922
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