ビジネスモデルを創造的に自己破壊し、新たな金融インフラの構築に挑む

既存のアセットを活かして
デジタルの共通インフラ構築を目指す

 10年先か、5年先か。いずれやって来るフルデジタルペイメントの時代。その時こそ、JCBの持つアセットが、業界全体に向けて新たな価値を発揮すると間下氏は予測する。

 というのも、多種多様なプレーヤーが交錯し、さらにはIoTデバイスなどのマシンとの連携も必要となる次世代デジタルペイメントの世界では、利用者の本人確認がいま以上にクリティカルな問題になってくるからだ。デジタルアイデンティティ(個人認証)は、現在のような暗証番号だけではなく、生体認証も当たり前になるだろう。とりわけM2Mなどの領域では、完全なデジタルデータでの認証プロセスに対応した本人確認の仕組みが要求される。

「そうなったからといって、小規模の商店や企業がみんな追加投資をして新しい認証システムを導入するわけにはいきません。またいくつものシステムが乱立すると、セキュリティレベルを維持できない懸念もあります。そうしたことから、国際ブランドとして培ってきた事業者間のルール設定や資金精算など、当社が持つスキーム運営の機能や知見がデジタルの世界でも貴重なアセットとなりますし、それを活かして共通インフラを構築するのが、当社の使命でもあると考えています」

 JCBはカード会社として国内唯一の国際ブランドであり、グローバルでのスキーム運営の実績を持つ世界的にも数少ない企業の一つである。他の国際ブランドとともに長年業界をリードしてきた立場から、おのずと業界全体の利益を視野に入れた戦略づくりが、同社のカルチャーとして染み付いている。

 そもそも、決済や個人認証はインフラの能力や品質が大きく関わってくる。ここにシステム投資を集中させ、多くの処理件数をこなして投資を回収できるプレーヤーは限られる。その意味でも、より多くのプレーヤーが相乗りして活用できる共有インフラの構築は、JCBに求められるミッションといえる。

「みんなが共存共栄できるという、『インフラのあるべき姿』を追求しつつトータルコストを下げ、より多くのプレーヤーが利用できる環境をつくっていくことが、JCBにとってもハッピーな選択なのです」[図表1]

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