そのほかにも、2020年12月には、取引履歴を企業間で共有するブロックチェーン技術の共同研究を、LayerXと協力して開始。プライバシーに配慮したうえで、業界・業種を超えて、サプライチェーンをまたがる商流情報を活用する高度なサービスの実現を目指している。
さらに2021年1月には、IoT/M2M向けの決済ソリューション開発を発表。ブロックチェーン技術を持つKeychainとの協働で、マイクロペイメント(少額決済)向けインフラに関するソリューションによる実証実験を開始した。
このように、専門分野で卓越した技術を持つスタートアップ企業と、JCBの経験値を組み合わせ、どんな新しいことが可能になるのか、その検証と開発の取り組みを積極的に進めている。
「こうしたオープンイノベーションによる成果をスケールさせていく段階では、人的資源や技術資産など総合力がある企業と組まないと、広く利用されるビジネスソリューションにまで育てられません。その段階では、大手のパートナーの力を借りることになると思います」
我々がふだん目にする決済サービスの競争は、クレジットカードとモバイル決済などインターフェースのレイヤーでの競争にすぎない。そのレイヤーでの競争はプレーヤーが乱立し、手数料がどんどん下がっていくレッドオーシャンと化しつつある。
一方で、「インターフェースやペイメントのレイヤーで多種多様なプレーヤーが増えるほど、セトルメントやバリューアカウントなどの重要性はさらに大きくなっていきます。当社の視点から見ると、この部分のインフラには、まだまだ未知の可能性や商機が埋もれているはずです」と間下氏。
既存のビジネスモデルをみずから破壊し、再創造するくらいの決意がないと、フルデジタルの時代は生き残れない。だからこそ間下氏は、「セルフディスラプトするのが、自分たちの仕事だと思っています」と言い切る。
JCBはいま、みずから先頭に立ってデジタル金融・決済サービスの新たな地平を切り拓こうとしている。
Point of View
Ridgelinez
Principal
隈本正寛 氏
金融変革というと、より生活者に近いペイメント領域が注目されがちですが、本当の意味での変革はインフラに近いレイヤーで起きています。逆にそこを変革しなければ、真の金融変革は達成できないと考えています。
そこにリーチできる国内のプレーヤーは限られ、その一翼を担うのがJCBです。間下さんが語った構想やプロジェクトは、JCBという個社の取り組みというよりは、日本の決済やデジタルアイデンティティ(個人認証)の仕組みを大きく変革する起爆剤になりうる可能性を感じています。
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