医療用医薬品卸のリーダーが挑む、業界横断のサプライチェーン変革

「面」で追わず「点」で追う
新たなビジネスモデルを模索

 NOVUMNは福神氏が説明する通り、情報に新たな価値を載せる次世代のプラットフォームである。こうしたプラットフォームが必要とされる背景には、業界の構造変化がある。

「医薬品産業そのものが大きく変化し、従来のビジネスモデルが通用しなくなっています。かつては、生活習慣病などに使われる低分子医薬品を大量に生産する、いわゆるブロックバスターモデルが製薬メーカーの主流の戦略でした。私たち医薬品卸にとっても、これらの医薬品をできるだけ多くの医療機関に、あまねくお届けするのが役割でした」

 この従来の構造に大きな変化をもたらしたのが、ジェネリック(後発)医薬品だ。低分子医薬品の多くは特許が切れ、低価格のジェネリック医薬品に切り替わっていったのだ。

「大げさでなく、薬価が10分の1程度まで下がってしまったものもあります。これでは製薬メーカーの収益も大きく減ってしまいます。そのため、特定の事業部門を売却したり分社化したりするところも増えています。さらに大きな潮流として、スペシャリティ医薬品へのシフトが起きています」

 スペシャリティ医薬品は、これまで有効な治療法がなかった希少疾病に対応する特殊な医薬品だ。

「従来は患者様が多いエリアや医療機関への営業を『面』で攻めていくのが製薬メーカーのセオリーでした。それに対して、スペシャリティ医薬品では、少ない患者様をまさにピンポイントの『点』で支えていくことになります」

 これは、まさにブロックバスター戦略とは真逆のニッチ戦略になる。製薬メーカーのMR(医薬情報担当者)や、医薬品卸のMS(マーケティングスペシャリスト)の活動も大きく変化することになりそうだ。

「従来のように、どのエリアのどの医療機関にも売れる医薬品というものが少なくなります」
そこで活きてくるのが、流通管理プラットフォームのNOVUMNだ。

「情報を登録すれば、抗がん剤Aの使用が中断され、抗がん剤Bの使用が始まったとか、副作用を抑えるための併用薬の使用が新たに始まったといった情報を追跡することができます」
中長期にわたって患者に寄り添った治療ができるだけでなく、製薬メーカーや医薬品卸にとっては、継続性が高いビジネスモデルを構築できる。

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