ピーナッツ・クラブから派生する形で1997年に創業。コロナ禍を受けてEC事業の発足と「applife」の立ち上げを実現する中で、土屋氏は全体統括や各セクションのディレクションを担う。
(右)サンドロッツ(千葉県千葉市) 代表取締役社長・植村祐貴氏
個人事業主を経て2017年に法人化。19年にスタートしたブランド「FunLogy」の各種オーディオ機器は、手厚いカスタマーサポートも含めたコストパフォーマンスの良さで高評価を獲得している。
コロナ禍で中小企業の多くが翻弄され、逆風にさらされている。そんな中、あえてリスクを取り、マーケットと消費者のニーズをいち早くくみ取って成功をつかんだ中小企業の「勇者」たちがいる。ワイ・エス・エヌ、サンドロッツ──DX(デジタルトランスフォーメーション)/EC(電子商取引)で業績を大きく伸ばした両社のビジネス戦略とは。そこに、コロナ禍の逆境を乗り越える勝ち組の法則が見えてくる。
【事例1:ワイ・エス・エヌ】
緊急事態宣言中に初のEC事業参入
成功を支えたECサポート
コロナ禍のさなか、2020年初めにEC(電子商取引)事業部と、ホーム・キッチン用品の新ブランド「applife(アプライフ)」をほぼ同時に立ち上げたのが、ワイ・エス・エヌ。家庭用のワッフルメーカーやポップコーンメーカー、センサーによってふたが自動開閉するダストボックス、そしてアルコールディスペンサー、消毒ポンプなどを短期間で開発・販売し、好業績を上げている。
営業部部長の土屋まな美氏が語る(以下、同社のコメントは全て土屋氏)。
「当社はもともと、アミューズメント施設やゲームセンター向けの雑貨や玩具の卸・販売を手掛けていました。20年の上半期に、緊急事態宣言や外出自粛によりそうした施設への人出が減り、売り上げが落ちることを見越した当社会長の指示で、ECと新事業の推進にかじを切ったのです」
「applifeのappは、Appliance=電気機器・器具とApplicationの二つに由来しており、『世の中を便利・快適にするアプリになってほしい』という思いが込められています。コロナ禍が拡大する中、まさに時間との競争でしたが“おうち需要”をうまく捉えることができました」
アプライフのお菓子・食品家電と衛生機器には、アミューズメント雑貨・玩具作りで培ったノウハウと協力会社のネットワークが生きている。ECサイトを見て分かるように、価格面の競争力も高い。
足踏み式の消毒ポンプ・スタンドは、割れにくさにも留意した専用ポンプを標準装備し20年11月に販売開始。複数の先行企業がいる市場への新規参入にもかかわらず、売れ行きは好調とのことだ。