AmazonでECに参入するメリット
初めてEC事業を開始し1年足らずで、大きな成果を収められた理由を尋ねた。
「Amazonの出品サービスは諸手続きがしやすく、参入障壁が低い。出品作業もスムーズ。例えば画像の選択、商品ページの構築要素、サイトのデザインなどの基準が明快かつ簡潔なので、こちらがあれこれ考えることが少なくて済みます。Amazonならではの知名度と、多くのお客さまがAmazonでの購入方法に慣れていることもメリットですね。あと、何といっても“フルフィルメント by Amazon(FBA)”の存在が非常に大きい」
FBAとは、Amazonの物流拠点に商品を預けることで、保管から注文処理、発送、カスタマーサービスまでを、Amazonが代行するサービスのこと。
「FBAには本当に助けられています。休日の梱包・出荷、お客さまの対応、返品も受けていただいていますし、人件費を含めたコストを考えるとコストパフォーマンスが非常に高いといえます」
Amazon担当者のホスピタリティーの良さも印象的だという。
「手続きがしやすく参入のハードルが低いことには先ほど触れましたが、とはいえ初めてのECなので行き詰まることも……。そんなときにタイミングよく『最近どうですか?』と営業担当さんから連絡が来たり、『次はこういう作業が必要なので日程を調整し一緒に作業しましょう』といった工程管理をしてくれたり。マラソンでいえば、初心者ランナーの私たちにとって良き伴走者を得たような感じです。販売事業者をサポートしてくれるセラーサポートさんのレスポンスも速いです」
カスタマーレビューの存在も、中小企業にとって大きなメリットだ。レビューの利点については、次の事例で詳しく触れることにし、土屋氏が紹介してくれた最近のエピソードでワイ・エス・エヌの項を締めくくる。
「ヨーグルトメーカーのユーザーが、『発酵バターを作りました』というレビューを上げてくれました。まさか……と思いましたが、試作してみたら本当にコクのある発酵バターができたので、ウェブサイトの商品紹介ページにすぐに反映しました」
今までBtoBが事業の柱だった会社が、Amazonを活用することでBtoCのビジネスチャンスを拡大させたのである。