同社はメディカルケアセールス事業を通じて、オンライン診療からオンライン服薬指導、処方薬の受け取りまでをワンストップで行うことができるプラットフォーム「SOKUYAKU」を提供する。その仕組みは図1を見ていただきたい。「SOKUYAKU」会員の患者は、エリア、症状、口コミなどを手掛かりにオンライン診療を受け付ける提携医師を検索し、診療予約を入れる。医師はオンライン診療後に処方箋を提携調剤薬局に送り、オンライン服薬指導を依頼する。薬剤師は服薬指導の後、提携バイク便で患者の元に処方薬を届ける。患者は最短でオンライン診療を受けた当日に薬を受け取ることができる。
カスタマーサクセスに
こだわったシステム開発
しかし、オンライン診療分野には複数のライバルが存在する。「SOKUYAKU」の強みはどこにあるのか。中村社長は、「マーケティングに知見を持つ当社がカスタマーサクセス(顧客の成功)の視点でシステムを開発した」点を強調する。
「多くのプラットフォームは、導入した病院・クリニック・薬局から初期導入費用と月額固定費用を受け取って運営するというシステムになっていて、患者さまを集める仕事は個々にやってくださいというものでした。そのため導入した医師の方々も使いこなすことができず、患者さまへも届かずにいたのです」
そこで、「SOKUYAKU」では、ジェイフロンティアが手掛ける他の事業──健康食品をはじめとする自社ブランド商品を通信販売する「ヘルスケアセールス事業」、ヘルスケア商品を取り扱う法人顧客に向けて商品販売促進支援を行う「ヘルスケアマーケティング事業」などを通じて蓄積した知見を生かして、患者に認知してもらうための積極的な活動を行うとともに、プラットフォームの使いやすさを徹底的に磨き上げたという(図2参照)。
もう一点、他のプラットフォームとは大きな違いがあると中村社長。
「それはスタート地点です。当社は処方された薬を当日中に患者さまに届けるには、どのようなプラットフォームが最適なのかという“風下”から発想し、それにはオンライン診療が必要だから誰にとっても使いやすい診療の仕組みを作ろう、というように“風上”へ向かってビジネスを構築していきました」
オンライン診療ありきではなく、病気に苦しむ患者に少しでも早く正確に処方薬を届けるところまでをきっちり作り込んでいるところは、「SOKUYAKU」の大きな強みだ。