カスタマイズにより
へき地医療の課題を解決
では今後、ジェイフロンティアは「SOKUYAKU」を武器にして、どの方向を目指すのだろう。中村社長は二つの例を挙げた。
一つはへき地医療という課題を抱える地方自治体との連携だ。「SOKUYAKU」は病院ごとのカスタマイズが容易なため、例えばある市立病院のホームページに組み込むことで、その病院専用のオンライン診療ツールとして活用できる。そうなると、患者はかかりつけ医の外来診療日に遠くから病院へ出向いて長時間待合室で待つ必要がなくなるし、病気によっては、他の病院の専門医にオンライン診療を依頼することもできるだろう。もちろん自治体に限らず、医療法人がグループの病院用にカスタマイズすることもできる。
「構想段階ですが、高齢者の方が多く利用する郵便局などに特定の病院につながる端末を置くことができれば、患者さまの利便性が高まると思います」と中村社長。「SOKUYAKU」はアイデア次第でさまざまに形を変えるポテンシャルを秘める。
もう一つは「SOKUYAKU」プラットフォームを活用したビジネス展開だ。一例を挙げれば、医師・薬剤師の紹介、医療領域のメディア・広告事業、医療データの提供など。数あるオンライン診療プラットフォームの中で、ここまで幅広い事業を想定できるのは、前述したヘルスケアセールス事業、ヘルスケアマーケティング事業の経験を積み重ねている同社だけだろう。
中村社長は自社が持つバリューチェーンのワンストップ化実現にも力を入れる。
図4を見ると、商品企画→製造→物流→EC販売→プロモーションのバリューチェーンの中で、製造が抜けていることが分かる。中村社長が説明する。「製造は化粧品・医薬品製造工場にOEMで依頼しています。商品開発力に直結するこの部分を自社で持って、新しい成分の開発、ゆくゆくは新薬の開発にも投資をしたい」。
そこでM&Aを戦略的に活用する「SPA+M」モデルの実現を目指している。SPAは製造小売業のことで、自社製品を自社の販売網で販売する形態を指す。製造をM&Aなどの方法によってバリューチェーンに組み込むことで、上流工程から下流工程までの一気通貫が完成する。そこに同社が持つ強みである+M(マーケティング)を加えることで、さらなる飛躍が期待できる。
「カスタマーサクセス」を重視して、「SOKUYAKU」を開発した中村社長。その発想力と行動力が、手詰まり感の見える日本の医療の在り方を大きく変える。
ジェイフロンティア株式会社
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