特定の金融機関から請け負う
税務申告案件が足かせに

 税理士法人によっては、特定の金融機関から数多くの税務申告案件を請け負っているからです。申告を他の税理士法人に回されると困るので、厳しい指摘をしづらいのです。

――その分、税理士法人に落ちるお金も大きいのでしょうか。

 そうではありません。むしろ、安いですね。リスク・リターンでいえば、割に合わないでしょう。ですので、多くの金融機関と提携することで、きちんとした税務アドバイスができるというわけです。

あしだ・としゆき/税理士法人ネイチャー代表税理士/税金対策・資産運用の専門ファームとして、〈富裕層〉×〈富裕層をめざす方〉を幅広くサポート。資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く手掛け、「日本一富裕層に詳しい税理士」としてメディアに度々登場。現在は税理士法人ネイチャーで代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。また、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。 Photo by T.U.

――以前と比べて、最近の富裕層の節税ニーズは変わりましたか。

 10年ほど前は、相続税の申告をしない富裕層がいたり、危なっかしい相談もあったりしました。ですが、今はコンプライアンスが厳しくなっていますし、海外に資産を持ち出したとしても共通報告基準(CRS)がありますので、そういう相談はなくなりましたね。

 最近では、不動産や生命保険など王道の税務対策のニーズが多いですね。時折、富裕層の脱税が新聞を賑わしますが、亡くなる直前に高額なマンションを買うとか、あまり変なことをやるとすぐに指摘されてしまいます。

 富裕層であれば、節税対策として不動産は欠かせません。最近では、税務以外の資産運用の相談が増えています。さまざまなネットワークを持っていますので、優良不動産をご案内したり、海外のネットワークを駆使し、きちんとしたインカムゲインを得られる海外不動産を提案しています。

――確かに、びっくりするような脱税を報道で見かけます。

 無理なスキームを駆使しなくてもよいケースはたくさんあります。私は「外科手術ではなく、内科でいい」とよく言うのですが、シンプルな税務対策の方がいいと考えています。

 もっとも、日本の企業オーナーは、もっとタックスマネジメントを気にした方がいいと思います。海外の企業オーナーはとても気にしています。というのも、ファミリー企業であれば相続を2回行うと、100ある資産が20にまで減ってしまうからです。また、相続税を払うために会社からお金を借り入れすると、会社の内部留保が減ってしまい、企業自体が弱まってしまうことになります。

 税金のことは考えたくない、という企業オーナーが少なくありませんが、企業経営においてとても重要なことだと考えています。

Key Visual by Noriyo Shinoda

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