新しい働き方、考え方や価値観の多様性
次に「新しい働き方、考え方や価値観の多様性」について議論がなされた。石山氏は、民間企業と行政など多様なセクターと協働する社会活動家としての考え方として、多様な立場の人たちと協働していくということは、「自分の当たり前」が基本的には通用しないということを挙げ、相手の価値観をまずは受け入れ、受け入れるだけでなく自分も変容し、受け入れられるキャパシティーを広げる努力をしていかなければならないと述べた。
稲葉氏は、DEIの観点で見たコロナ禍前とコロナ禍後の違い=「内なるダイバーシティ」の考え、テレワーク導入でこれまでの顔を合わせていた人とのコミュニケーションスタイルを考え直す必要性、インクルージョンの考え方が大事になってきていることを語った。特に「共感できないことを異物化しないで、表に出し、聞き、受け入れる考え方が最先端の DEI の議論」になっているという。
田中氏は、「キャリア資本=ビジネス資本/社会関係資本/経済資本」という考え方を披露。多様な人と出会い、関係を構築していくことは社会関係資本の蓄積につながること、変わりゆく環境に対して自分で対応できる変化適応能力が必要であることをパネラー3人で話した。
モデレーターの藤谷氏は、アマゾンジャパンではDEIが重要な価値観になっていることや16項目で構成されるリーダシッププリンシプル(行動規範)に言及した。「Have Backbone; Disagree and Commit」(リーダーは賛成できない場合には敬意を持って異議を唱えなければなりません。信念を持ち安易に妥協して馴れ合うことはしません。いざ決定がなされたらコミットして取り組みます)、「Are Right, A Lot」(リーダーは優れた判断力と、経験に裏打ちされた直観を備えています。多様な考え方を追求し、自らの考えを反証することもいといません)といった考え方があることを紹介。
信念を持ちながらも、多様な考え方の追求や柔軟な考え方を受け入れることが重要だとするAmazonの考え方を述べた。また、本社ビルの一つでは、母親である社員向けの搾乳室、宗教的に配慮した礼拝室、 仮眠室、オールジェンダー向けのトイレやシャワールームなどが備えられていることも紹介した。