ジェンパクトは、顧客企業のオペレーションの最適化から、デジタルやデータアナリティクスを駆使した付加価値創出支援へと業容を広げてきた。同社が提唱するプロセス主導型変革は、ノンコア領域の徹底した効率化によって企業体力を強化しつつ、大胆なDXへのチャレンジを可能にするアプローチとして注目される。
コロナで必要性が高まった
グローバルガバナンスの強化
編集部(以下青文字):ポストコロナに向けた企業の経営課題について、どうとらえていますか。
代表取締役社長 グローバルシニアバイスプレジデント
田中淳一 JUNICHI TANAKA ジェンパクト(日本法人)代表取締役社長、ならびにジェンパクト(アメリカ本社)シニアバイスプレジデント。早稲田大学理工学部電子通信学科を卒業。野村総合研究所、EDSを経て、アクセンチュア、KPMGコンサルティングなどのパートナー、執行役員を歴任。2018年10月より現職。
田中(以下略):日本企業の経営課題は、コロナ前も現在もほぼ同じです。日本企業に関しては、国内市場の縮小、生産年齢人口の減少、デジタルとデータ活用の遅れなどに起因する国際競争力の低下が指摘されてきましたが、そうした構造的な問題は大きく変わっていないからです。
構造問題を乗り越え、収益力と成長力を高めていくために、コスト削減や生産性向上、業務の高度化や事業モデル変革にいままで以上に真剣に取り組むべきだと再認識されている経営者は多いはずです。
そうした経営者の方々への私からのメッセージは、まず「自分たちは何をする企業なのか」を深く自問し、競争優位の源泉となる差別化領域(コア)とそれ以外の非差別化領域(ノンコア)を見極めることが重要だということです。
コアとノンコアでは、経営資源の配分や実行すべき施策が当然異なります。この見極め、割り切りができているかどうかが、グローバルレベルのエクセレントカンパニーとその他の企業の分水嶺の一つといえます。
収益力と成長力の向上という文脈において、企業の関心領域に変化は見られますか。
コスト削減や生産性向上などの経営の効率化は、もはや不断に取り組むべきテーマとなっていますが、ここに来て特に「グローバルガバナンス強化」といったテーマへの関心が高まっています。
コロナの影響もあって国際情勢の複雑性が高まり、グローバル市場を主戦場とする日本企業にとって、海外子会社や買収先の管理をはじめ、グローバルガバナンスのあり方を早急に見直す必要性が生じているからです。
従来のように、日本からの出張や駐在ベースで社員を派遣し、海外子会社を管理する「人依存型」の手法は難しくなりました。今後は役割やミッションをより明確化し、共通化されたポリシーや制度、システムに基づいてプロセスを標準化、可視化することによって、いつでも、どこからでもデータを確認することができ、それを使ってリスクを予測し、対応できるような「仕組み化」がポイントになります。
コロナによって、これまで困難とされてきたリモート化、自動化が日本でも急速に拡大したこともあり、グローバルガバナンス強化に向けた機運は、かつてないほどの高まりを見せています。