戦略的パートナーシップで
CoSとCoEを一体運営
御社が支援したプロセス主導型変革の事例について教えてください。
大手ハイテク製造業A社の変革事例においては、コスト削減効果のコミット、戦略的パートナーシップによる一体運営、雇用の保障に取り組みました。大きな特徴は戦略的パートナーシップに基づいて、CoSとCoEをA社と当社で一体運営していることです。
まずは日本からCoSへの集約化と仕組み化を始めました。次に、日本での取り組みをモデルケースとして、北米、欧州、アジアの各地域でCoSへの集約化と効率化を進めていく計画です。
仕組み化の一環として、役割やミッションをより明確化し、共通化されたポリシー、制度、システムに基づいて、プロセスを標準化、可視化し、データに基づく管理の仕組みづくり、デジタルの導入を進めています。オペレーションも安定化しているので、今後はさらなるデジタル活用、人とカルチャーの共同醸成、リスキリングによる強化により、全体最適化を図っていく方針です。
A社の事例は、DXそのものといえそうですが、プロジェクトはどのぐらいの期間、どのぐらいの人員規模でサポートしているのですか。
構想策定から提案、立ち上げまで1年弱かかっています。方針が決まった後の導入は早くて、半年もかからずに日本でのCoS立ち上げが完了し、現在は他の地域の立ち上げに取りかかっているところです。それを5年以内に軌道に乗せようとしています。
人数は、プロジェクトの運営委員会に参加するコアメンバーが当社から十数人、それ以外にオペレーションや自動化など、現場でお客様と一緒に取り組むメンバーもいて、総勢100~200人の規模です。
もう一つ事例をご紹介すると、大手飲料メーカーB社では、かなり強力にトランスフォーメーションを進めているところです。エンド・トゥ・エンドでのプロセス統合、先述のCASEの手法の活用、成長を促すために効率化だけではなく高度化にも注力、という3つの戦略的アプローチで、多岐にわたる部門機能の変革に取り組んでいます。
当初は財務・経理、人事・総務など、集約しやすい業務から開始し、営業・販促、契約管理、マスターデータ管理なども含めてエンド・トゥ・エンドで業務プロセスを再構築し、ノンコア業務の徹底的な効率化と外部化を図るとともに、シェアードを中心としたCoEとの一体型の運営を行っている点が特徴です。
すでに成果として、年間数百億円のコスト削減を実現したほか、AIを活用したデータ分析により販売機会損失を明らかにし、これを解消することで年間数百億円の価値創出にも成功しています。
また、ルーチン作業がなくなったことで、事業部門はコア業務に集中でき、データに基づくリアルタイムな意思決定も可能になっています。ガバナンス強化、組織運営、人材の高度化という意味からも、大きな成果を上げている事例といえます。