プロセス主導型変革で
50%以上のコストを削減
コア業務とノンコア業務を切り分けて、ノンコアについてはシェアードサービス化する企業が日本でも増えています。
たしかに、シェアードサービス子会社をつくっている日本企業は多いのですが、「シェアードサービスの進化モデル」に基づいて説明すると、全5段階の進化のうち、日本企業のほとんどは最初の2段階である機能の集約化に留まっており、十分な効率化ができていません。
企業グループ内に分散している業務を集約し、次の段階である「仕組み化」をすることで効率性は大きく高まります。
仕組み化のためには、まずトップダウンで機能横断の改革実現策を構築し、可視化、KPI(重要業績評価指標)設定、管理方法の明確化によって、効率化や競争力をつくり出すためにすべきことの共通言語化を行います。次に、それを土台として継続的に改善を推進するための運用の仕組みを構築するのです。これにより、業務の属人化が排除され、グローバル統一の管理によるガバナンスの徹底も図られます。
さらにAI、アナリティクスを駆使することで、経営管理の精度は飛躍的に高まります。この段階では、ノンコア業務は、仕組み化と効率化をコア業務としているプロフェッショナル集団に任せたほうが、自社はコア業務に集中できると判断するグローバル企業も多く、当社ではそうした企業とGBS(グローバルビジネスサービス)として一体化した業務運営を行っています。
グローバルレベルのエクセレントカンパニーになると、次のステップとして大半の業務をデジタル化したサービスにし、必要に応じて外部化するとともに、シェアード部門は単なるノンコア中心の支援業務ではなく、事業自体に直接貢献する高度化されたコア業務の一部を担う部門へと変貌させています。
ノンコア領域における仕組み化について、詳しく教えてください。御社はCoS(センター・オブ・スケール)というコンセプトで、ノンコア業務の仕組み化を図っていますね。
私たちは「プロセス主導型変革」と言っていますが、ノンコア業務に投じている経営リソースの割合を最小化する一方、コア業務に配分するリソースを最大化することによって、企業は付加価値を向上させ、競争力を高めることが可能になります。
CoSというのは、ノンコア業務を集約して、人とデジタルによってプロセスを仕組み化し、効率化と高品質を徹底して追求するモデルです。
そのフレームワークとして私たちが提唱しているのが「CASE」(集約化、自動化、標準化、ムダの排除)です。これによって、処理可能な業務量が飛躍的に増え、企業全体の効率化が加速度的に進むという、規模の経済を働かせるのです。
私たちがBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)でCoSを受託する場合は、5年で50%以上のコスト削減など、成果を明確にコミットしています。
50%以上のコスト削減というのは、大きなインパクトですね。
先述の通り、シェアードサービスを導入している企業の多くが機能の集約化に留まっており、全体を見据えた業務改革の推進や自動化、デジタル化については、現場任せにしているケースが散見されます。それだと、数%程度のコスト削減に留まります。
そうではなくて、やはりトップダウンで自社が本当にあるべき姿は何なのかを問い直し、「この業務は本当に必要なのか」ということを含めて考えたり、「ここは自動化できない」といった領域についても、本当にできないのかをあらためて検討したりしていくことで、大きなコスト構造改革が可能になります。
CoSで効率化を追求した結果、ノンコア業務において人員余剰が発生することが予想されます。整理解雇が難しい日本では、そこで新たな問題に直面することになりませんか。
その問題は、人材のリスキリング(新たなスキルの習得)によって解決できます。当社では自社向けに開発したリスキリングのためのトレーニングプログラムをお客様にも提供しています。これを活用してリスキリングを行い、ノンコア業務から付加価値業務に特化したCoE(センター・オブ・エクセレンス)へ人材シフトを進めていくのです。
CoEでは、エンド・トゥ・エンドでのプロセス統合方針の構築、顧客や従業員、ユーザーのエクスペリエンスに焦点を置いた業務モデルの設計、CoSで蓄積したデータを分析するなど、付加価値創出に直結する高度な業務を遂行していきます。
最近は、お客様と当社の間でジョイントベンチャーを活用した戦略的パートナーシップを結び、CoSとCoEを一体運営するというケースも増えています。