ペイパル東京支店ディレクター CMO
世界のEC(電子商取引)市場が飛躍的な成長を続けている今こそ、越境ECのビッグチャンスだ。「海外販売のハードルは高い」と思い込んでいる事業者も少なくないようだが、事業環境は大きく変わった。オンライン決済プラットフォームのグローバルスタンダード「ペイパル」を活用すれば、越境ECのハードルはグンと下がり、成功への道を歩みだせるはずだ。ペイパル東京支店ディレクターの二見直樹氏に話を聞いた。
世界各国で海外通販が定着
日本のEC市場はコロナ禍の影響による巣ごもり消費で伸びているが、それをはるかに上回る勢いで拡大しているのが世界のEC市場だ。『2021年ペイパル海外通販レポート』*1によると、20年の世界のオンライン小売売上高は前年に比べて約28%増の4.28兆米ドル(466.52兆円、1ドル=109円換算)に。今後も成長は続き、21年は前年比14.3%増の4.89兆米ドル(533.01兆円)にまで拡大すると予想されている。
各国共通の変化は、新たにオンラインショッピングを始める消費者と消費者1人当たりの合計購入金額が増加していること、国境を越えたオンラインショッピングの利用者が増えていることだ。
実際、新型コロナウイルス流行前にECの普及率が低かった国でも、メキシコを筆頭にオンラインショッピングへの移行が大幅に進んでいる。今回の調査対象である13の市場全てにおいて、オンラインショッピング利用者のうち、今後さらに利用したいと回答した人は、利用を控えたいと回答した人の2倍以上となった。また、回答者の56%が新型コロナウイルス流行下でオンラインショッピングの利用が増えたと答えている。
一方、消費者がオンライン環境に慣れてくると、海外通販の利用も増加する傾向にある。同市場調査では、22%が新型コロナウイルス流行以降、より安心して海外通販が利用できるようになったと回答。また、回答者の半数以上が20年に国内外両方のサイトで購入したことがあると答えており、海外通販が習慣として定着していることが分かる。海外通販の利用率は米国33%、欧州平均46.3%、中国39%、香港73%、シンガポール78%、オーストラリア63%と、国境はもはやECの障壁ではなくなった。
こうした世界的な購買行動の激変は、今後も継続するだけでなく、さらに加速するとみられている。同市場調査でも、オンラインショッピング利用者の85%が21~22年に同程度またはより多く購入すると回答。さらに、オンラインショッピング利用者の26%が21~22年に海外サイトでのショッピングを開始するか利用を増やす意向を示している。しかも、海外通販の利用者は、国内でのみ購入する人よりも多くのお金を使う傾向がある。日本の事業者にとっても今こそ、越境ECのビッグチャンスなのだ。
*1 13市場(日本、中国、香港、シンガポール、インド、オーストラリア、米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、メキシコ、ブラジル)、1万3000人の消費者(成人)を対象に、各国内と海外のオンラインショッピングの利用方法について聞いたオンライン調査。2020年12月~21年2月に実施。