2021年11月25日、ダイヤモンド社はロイヤルカナン ジャポンの協賛を得て、ウェブセミナー「サステナブル経営を実現するSDGs、ESG経営の真価」を開催、慶應義塾大学教授の蟹江憲史氏や、ESG金融コンサルタントの夫馬賢治氏らが登壇した。今回はロイヤルカナン ジャポン社長、山本俊之氏の「“互恵の経済学”に基づくロイヤルカナンの取組み」というテーマで行った講演を紹介する。

犬と猫のプレミアムペットフードと食事療法食で有名なロイヤルカナンが採用しているビジネスモデルイノベーションのアプローチ“互恵の経済学”について、「どのように実践し、企業の財務利益と社会課題の価値創造を両立しようとしているのか」という内容は、多くの企業にとっても非常に参考になる話となった。
*本稿は、ダイヤモンド社が主催したDIAMONDビジネスフォーラムの講演を基に再構成した。

世界最大手ペットフードブランドの中核、ロイヤルカナンのイノベーション

 セミナーの冒頭で、まず山本俊之氏は「ロイヤルカナンが採用しているビジネスモデルイノベーションのアプローチである“互恵の経済学”は、SDGs、ESG経営の本質と相通じています」とし、「“互恵の経済学”の実践手法とそれに基づく活動を紹介することで、皆さまのSDGsあるいはESG経営実現・実行の参考になれば」と語った。

SDGsともESGとも違う、企業の独自性・競争優位性を生み出す「互恵の経済学」とはロイヤルカナン ジャポン社長
山本 俊之 氏

 ロイヤルカナンは1968年、南フランスに住む獣医師ジャン・カタリーによって創業された。治療を終えてもすぐに皮膚疾患を再発してしまう犬のために薬を処方するのではなく「全ての源は栄養であり、栄養こそが第一の薬である」ということに基づいてフードを開発した。「当時そうしたアプローチは非常に画期的であり、ロイヤルカナンはペットフード業界における製品イノベーションを主導してきたのです」と山本氏は語る。

 ロイヤルカナンは、世界最大手のペットフード事業を展開するマースグループに属しており、今や、その中で最大ブランドとなっている。「売り上げは99年から17年連続で2桁成長を続け、さらにその後も2桁前後の成長率を維持。日本でもリーディングメーカーの一つとなっています。そしてロイヤルカナンの成長の根本にあるのが、創業以来50年を超えて変わらぬミッションであり、価値観です」と述べる。

SDGsともESGとも違う、企業の独自性・競争優位性を生み出す「互恵の経済学」とはマースグループは、ペット製品ではロイヤルカナン、ペディグリー、カルカン、アイムスなどのブランド、他に食品なども扱っている
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