ステークホルダーが抱える悩みを4つの視点でつかむ

 次の第3のステップ「ステークホルダーの“悩み(pain point)”をつかむ」というのは、悩みを4つの投下資本(人的資本、社会資本、金融資本、自然資本)の視点で見るという。例えば「人的資本」であれば、ペットショップ、獣医師らの長時間業務、収入、不透明なキャリア、ペットの死や過労などのストレス、後継問題など、いわゆる仕事内容や働き方の悩みだ。ほかに「社会資本」は主にペットオーナーなどとの人間関係や世間からの評判、「金融資本」は社会環境の変化によるコスト増や利益減などの悩み、そして自然資本とは使用する水・電気、CO2排出などの問題としている。

「先ほど定義したステークホルダー(ペットショップやブリーダー、動物病院など)の皆さまは、このようなさまざまな悩みがあり、これをつかむということが重要になります」。そしてそれを踏まえた上で、最後の第4ステップの「パートナーとなるステークホルダーと互恵のエコシステム」を構築していくのだ。

「自社の事業の利益が、ステークホルダーの成果、つまり彼らの“悩み(pain point)”の解決につながり、ひいては社会問題の解決につながる。こういった形でビジネスモデルをいま一度作り上げることで、持続可能な形になるのです」と強調する。

 互恵のエコシステムは自社から始まり、ステークホルダー、社会へと流れていくものなのだ。

互恵のエコシステムを形成し、利益と価値創造を両立する

 セミナーの最後に山本氏は「企業は自社の利益のみを追求するのではなく、地球環境やステークホルダーとの持続的な関係にも配慮し、相互に利益が得られるような解決策を生み出す、そうした存在であるべきだ」と改めて強調した。

 つまり、社会的に意義のあるパーパス/存在意義を中心に、互恵のエコシステムを構築する。これこそが、企業の財務利益と社会課題の価値創造の両立を持続的に可能にすると考えているからだ。

「SDGsやESG経営に取り組むには、まず、自社のビジネスの核となる社会課題は何かを明確にし、その実現が自社とパートナーの利益につながるよう、日々のビジネス活動と社員とパートナーの意識と行動のベクトルを合わせていくことが鍵になるのです」と、講演を締めくくった。

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ロイヤルカナン ジャポン合同会社
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