愛子さまが将来の天皇になることを期待する声
すぐにでも地に足の着いた議論を開始すべきだ
――皇位継承者の不足をどうやって補えばいいと考えますか。
平成の天皇の直系の孫である眞子さま、佳子さま、愛子さまの3内親王、悠仁親王がそれぞれ皇位継承権を持ち、宮家を設立するのが一番安定するというのが、かつての私の持論でした。
しかし、議論と改革の遅れによって今回、眞子さんが結婚して皇籍を離脱しました。それでもまだ3宮家設立の可能性は残りますが、佳子さまが近いうちに結婚する可能性もある。そうなると、愛子さまと悠仁さまの2宮家のみが期待されることになります。しかし、このまま女性天皇を認める法改正がご婚約の前になされなければ、愛子さまも離脱してしまう。
旧皇族の末裔の復帰は、一部の強い支持はあるものの、実現への道はかなり険しいとみます。そもそも具体的にどなたが復帰するのか、その人選が難しい。旧宮家同士の確執も招きかねません。
また、これまで一般民間人として俗世間で生きてきて、何らかのトラブルを抱えている方もいるかもしれない。小室圭さんのように週刊誌やSNSなどで騒がれ、たたかれる可能性もあります。
さらに、旧皇族の男子が復帰しても、その次に男子が生まれる保証はありません。復帰後、男子が生まれなかった場合、その方へのバッシングが高まる危険があります。仮に生まれたとしても、次もまた同じ問題が繰り返される。1代、2代と続いたとしても、将来的には行き詰まることが自明なのです。安定するどころか、内部崩壊しかねません。
本気で旧皇族の復帰を考えるのであれば、どのくらいの数がおられて、そこからどなたをどういう形で復帰させるのか、具体案が示されないと、いつまでも掛け声で終ってしまう。結局は時間ばかりが過ぎ、皇位継承者が一人もいなくなる事態に陥りかねません。
国民投票で決しようにも、そこに至る議論そのものがまとまらないでしょう。皇室がなくなるか、男系への期待を続けるかの問を揺れながら、30年後の人々が最終決断を迫られる事態に陥ることを危惧しています。
――「今後の皇室のあり方を議論する政府の有識者会議」は21年内にも最終答申を取りまとめたいとし、(1)女性皇族(内親王・女王)が結婚後も皇族の身分を保持するのを可能とする、(2)皇族の養子縁組を可能とすることで、戦後に皇籍離脱した旧宮家の男系男子が皇籍復帰する、この2案を軸とする方針を明らかにしています。
今の有識者会議は男系保持のため、女系天皇、女性天皇の道を阻む目的があるように見えます。
皇位継承問題は国会で決めることですので、政治の力学で流れが決まるのはやむを得ないですし、ある意味で当然ともいえます。しかし、国民世論には、愛子さまが将来の天皇になることを期待する声が多いように思います。
おたべ・ゆうじ/1952年生まれ。専攻は日本近現代史(皇室制度・華族制度)。著書に『皇族 天皇家の近現代史』『華族 近代日本貴族の虚像と実像』(中公新書)、『百年前のパンデミックと皇室』(敬文舎)など多数。 Photo:kyodonews
他方、国民はいわゆる旧皇族に該当する方がどのくらいおられ、どなたが養子になるのか、具体的なイメージを全く持っていません。そうした方が突然、皇族になり、あるいはいずれ天皇になるといわれても、簡単には崇敬の念は育たないでしょう。
最も大事なのは皇位継承者を安定させることであって、女性皇族が皇室に残っても、皇位継承権がなければ問題解決になりません。
養子の場合、養子先の宮家と、養子になる方との合意形成も厄介な問題だと思います。国民の支持が得られるかも未知数です。
現在、私たちに求められているのは、今おられる皇族の方々でどう解決できるかという、もっと地に足の着いた議論と解決策なのではないでしょうか。具体的には、愛子内親王の皇位継承権をどうするのか、悠仁親王のお妃とお子さまをどう確保するのか。22年中にも議論を始めるべき、あるいは着手すべき問題だと思います。
Key Visual by Kanako Onda



