2022年1月の通常国会に経済安全保障推進法案が提出される見通しだ。岸田政権が重視する経済安全保障政策が、本格的に動き始めることになる。特集『総予測2022』の本稿では、安倍政権当時に国家安全保障局長として同局経済班を発足させ、経済安全保障政策を推進してきた北村滋氏がこの局面の現実を赤裸々に語った。そこで飛び出したのは、楽天グループの名前だ。(聞き手・構成/ダイヤモンド編集部 杉本りうこ)
経済安全保障って何だ?
なぜ楽天が「監視」される?
日本政府は2022年の通常国会に経済安全保障推進法案を提出することを目指している。これは国際情勢を踏まえれば自然な流れだ。世界には今、経済安全保障の時代が到来しているのだ。
軍事が中心と考えられがちだった安全保障の領域は今、経済に広がりつつある。安全保障の領域では、かつてゾルゲ事件で見られたような古典的な諜報活動はもはや少数。主要な政府や企業の情報収集の矛先は、他国企業などが有する先端技術に向けられている。
こういった中、米国は海外からの直接投資を審査する「外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)」を施行し重要技術等の審査対象を拡大するといった取り組みを進めている。中国も、重要なものや技術の輸出を制限する「輸出管理法」を制定するなどしている。
そもそも経済安全保障とは何か。