日本人が頑張り過ぎて忘れていた「幸せ」を取り戻せ。テクノロジーで実現する健康経営と社員の幸福

宮沢賢治も言っていた「みんなで幸せになる」という考え

――WHO(世界保健機関)の健康の定義が「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」ですが、企業は社会的な健康をどのように考えていけばいいのでしょうか。

前野 宮沢賢治は『世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない』と書き残しています。昔からある大乗仏教の思想です。また京セラ創業者の稲盛和夫氏は物心両面の幸せを言ったし、近江商人の三方よしは、自分も周りも、みんなの幸せが大事ということ。つまり、日本にはもともとWHOが提唱するような健康という考え方はあったと思います。

 日本人は今まで仕事や利益を追求し、頑張り過ぎて忘れていた、もともと持っていた「みんなで幸福になる」という精神を思い出し、自信を取り戻してほしいですね。

日本人が頑張り過ぎて忘れていた「幸せ」を取り戻せ。テクノロジーで実現する健康経営と社員の幸福

山田 産業医として痛感している のは、働くことで失われる健康と社会的な健康は密接につながっているということ。社会的な健康には家族関係、経済的な問題、キャリアの問題を含みます。それらを併せて豊かにしていかなければ、単に病気でないだけでは幸せは完結しない。肉体的、精神的、社会的という三つの健康をバランスさせていくことが大事で、われわれも社会的な健康をどう支援できるか、ますます真摯に向き合っていかなければと思っています。

 日本企業も及び腰にならず、健康経営、幸福経営は人間の本質だと自信を持って取り組んでほしいです。

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