なぜ「OMO」の実現がうまくいかないのか
長森氏はOMOの実現がうまくいかない理由をこう分析する。「自分たちなりに過去の経験を踏まえると、
そして、「2点目は、『実装力不足』です。抽象度の高いコンセプト企画構想・概念構築を念入りに行うものの、最終的に手触り感のある内装設計や、UIデザインまで落とし込めず頓挫するケース。特に各プロセスでプレーヤーが変わる場合に起こりやすいのですが、例えば概念構築はコンサル、内装設計は内装会社、UIはウェブデザイン会社となると、共通イメージをつくりにくくなり、一貫性を欠きやすくなります。
そして3点目は、「『考え方の硬直化』です。従来のKPIや収益性を前提にして新しい取り組みを捉えてしまい、短期の採算性を重視して本質的な取り組みを阻害してしまうケース。多くの伝統的企業が直面する組織課題で、相対的に収益性の高い部門ほど、今までの成功体験を抱えており成功のジレンマ的なボトルネックといえるでしょう」と長森氏はみている。
「これらの挙げてきた課題に関して、われわれは、テクノロジードリブンでアプローチしてみたり、ドラミートウキョウでコンセプトの企画構想から関与してみたりとさまざまな角度から取り組んできました。最終的にこの課題にアプローチし、真にリアルとデジタルが融合したOMOを実現するには、『企画構想から実装まで一気通貫して提供できるプレーヤー』が求められていると強く感じています。それがわれわれなのです」(長森氏)
つまり、「手段の目的化」に関しては、もともとの出自が看板施工会社であり、そもそもリアルなリテールと対峙することから始まっているため、他のテクノロジープレーヤーと一線を画して、体験構築まで実現できること。そして2点目の「実装力の不足」に関しては、企画から実装まで一気通貫で対応するケイパビリティーがあることで、各プロセスでパートナーを変えることなく、同じ認識と、同じ目標を共有した状態でプロジェクトを進めることでカバーできること。
そして、最後の「考え方の硬直化」に関しても、企画から実装までのケイパビリティーを有することで、小さく試して実績作りを行い、社内を説得する材料をつくり、大きな取り組みに発展させるところまで取り組むことで対応できるという。
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消費者ビジネスは「感性」が重要
エモい空間とデジタルを融合させる手腕
技術力や企画力だけでなく、「感性に働き掛ける空間」をプロデュースし、実装できるのが同社の強みだ。それは前述した“右脳ドリブン”のアプローチと言い換えることもできる。
「リテールは消費者ビジネスであり、消費者ビジネスはBtoBと比べて『感性』が重要視されます。つまり『なんかいい』とか、『かっこいい』とか、『感動した』という要素で、これをわれわれは『emotion』(エモい)と表現しています。
『emotion』を出すには、やはりリアルな空間での体験が一番効きます。いくらデジタルが発達したとしても、今のところ物質の世界に生きる人間に訴求するには、リアルな環境で五感に働き掛ける方が効果的です。この『emotion』を前提として、デジタルをいかに使うか。これがリテールにおけるOMOの重要なポイントだと考えています。
コンサルティングファームには製作・実装はできないし、テクノロジープレーヤーにはリアルを含めた体験設計は難しい。また、深くリテールとつながっていないとこの『emotion』というフィーリングを共有することも難しい。関与者全員がフィーリングを共有できないと、本当に良いものをつくることはできません」と真榮城氏は語る。
「このリテールの背景を分かった上で一気通貫して、企画構想からリアル・デジタル両方のUXデザイン、そして製作・実装・運用まで提供できるプレーヤーはわれわれだけだと考えています」(長森氏)
最後に長森氏に同社の展望を聞くと、「今後も当社のグループ力を発揮して、コロナ禍以降、厳しい事業環境にさらされているリテール業界を支援していきたい。販促とリテールテックの知見を持ち集客する力のあるクレストと、顧客に最高の体験を提供するドラミートウキョウなどの力を結集すれば、他のコンサルティング会社やデザイン会社にはまねのできない、斬新な提案ができると確信しています」と語った。
株式会社 ドラミートウキョウ
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