エネルギー価格急騰でコストアップ
「サイバー攻撃」を受ける可能性も

 ウクライナ危機は、直接的な対外輸出だけでなく、「世界が抱える諸問題」を浮き彫りにしていると筆者は考える。そしてそれが、サプライチェーン関係者を脅かしている。

 一つが「脱炭素」だ。脱炭素、脱化石燃料と叫ばれてはいるが、現実的にはまだ、石油や天然ガスがないと世界は回らない。EU各国はロシアの天然ガス供給に依存していて、中でも特にドイツはその依存度が高い。

 ウクライナ危機が、天然ガスの供給不足を引き起こせば、世界全体でエネルギーのコストが上昇する。すると物流コストも、生産コストも上昇していく。サプライチェーン全体のコストアップが、企業経営を圧迫するだろう。

 そうなった場合、米国がシェールガスやシェールオイルの増産に踏み切ればいいのかもしれない。それは対ロシア政策の意味でも有効と思われる。だがしかし、脱化石燃料を叫んできたバイデン政権では不可能だという声もある。いずれにしても一筋縄ではいかないだろう。

 もうひとつが、「サイバー攻撃」だ。2010年代の中頃、ロシアはウクライナの電力網に侵入し、電力を止めたと報じられている。ウクライナの工場から一般家庭まで電気が使えなくなり、インフラが停止したので、国として大ダメージを受けたそうだ。

 これが今回、繰り返されない保証はない。米国のサイバーセキュリティー機関(CISA)も同様の注意を喚起しているほどだ。

 聞くところによると現在、米国でもEUでも1000社強の企業が、ウクライナ企業をティア1(直接取引するサプライヤー)として有している。そして、それら米国やEUの企業と日本企業は、多かれ少なかれ取引関係にある。

 よってウクライナ企業がサイバー攻撃に遭うと、取引企業を通じて間接的に日本企業にも影響が及び、サプライチェーンが停止する可能性がある。こんなことにも注意せねばならないのかと驚く読者もいるだろうが、それが現実だ。

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