ウクライナ東部・ドンバス地域の国境に向かって移動するロシアの軍用車両ウクライナ東部・ドンバス地域の国境に向かって移動するロシアの軍用車両 Photo:Anadolu Agency/gettyimages

ウクライナ情勢をめぐる緊迫の度合いが増している。米ニューヨーク・タイムズ紙は24日未明(日本時間)、「ウクライナとの国境周辺に展開する約19万人のロシア軍部隊の80%が戦闘態勢に入った」というペンタゴン高官の談話を伝えており、その数時間前にはウクライナ国防省が「過去24時間で166のロシア軍部隊が、ロシアの支援を受けた武装勢力が占領する地域に入った」と発表。すでに合計で300を超える部隊がウクライナ東部のドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国内に展開している。欧米諸国とロシアとの外交交渉はまだ完全に決裂したわけではないが、24日午後4時現在(日本時間)、キエフでも爆発があったとの報道もあり、ロシア軍のプレゼンスはウクライナに日増しに圧力をかけている。(ジャーナリスト 仲野博文)

首都キエフは静かだが
ロシア大使館の閉鎖が決定

 ウクライナ東部のドンバス地方で、ウクライナ軍とロシアからの支援を受けた武装勢力が戦闘を開始したのが2014年4月。それから約8年の間に1万4000人以上が死亡し(ウクライナ政府発表)、そのうち約3500人は一般市民であった。

 2014年4月以降、ドンバス地方では双方の戦闘によって住む場所を失った市民が続出。住み慣れた地域を離れて周辺国に移り住む市民も少なくなかった。何年もの間、日本や欧米諸国で報じられるウクライナ関連のニュースの多くが、ドンバスにおける戦闘に関するものであった。

 ドンバスから離れた首都のキエフで、市民はロシアによる武力侵攻の可能性をどのように考え、どのような準備をしているのだろうか?