2022年7月に創業60周年を迎えたリンガーハットグループ。現在、長崎ちゃんぽん専門店「長崎ちゃんぽん リンガーハット」、とんかつ専門店「とんかつ濵かつ」、卓袱(しっぽく)料理専門店「長崎卓袱浜勝」を運営し、グループ全体で約700店舗を運営する。米濵和英名誉会長と佐々野諸延社長に、リンガーハットグループの挑戦の歴史を聞いた。

 リンガーハットの歴史は、1962年7月22日、とんかつ専門店「浜かつ(現・濵かつ)」を長崎市鍛冶屋町の一角に開店したことに始まる。創業者は、米濵(よねはま)和英・現名誉会長の長兄である豪氏。約7坪の小さな店だったが、当時の長崎県知事が常連客だったこともあり、長崎県庁の食堂運営事業を受注するなど、外食ビジネスの第一歩は順調にスタートした。

 和英氏はその長兄に呼ばれて高校卒業後に鳥取から長崎に移住、店の手伝いを始める。やがて70年代に入ると、日本の外食業界にチェーンストアという新たな形態が上陸した。

「興味を持って、フランチャイジーになるための勉強を始めたのですが、ある相談会で、チェーンストア経営研究団体ペガサスクラブ主宰の渥美俊一氏から、“鶏口となるも牛後となるなかれ。フランチャイジーになったらそこから抜け出せない。苦労しても自分で開発したものを追求するのがビジネスの本筋だ”と助言され、自分たち独自の商材を考え始めたのです」

 米濵名誉会長は、チェーン展開を手掛けることになる経緯をそう振り返る。