ビッグデータの活用が人々の生活とビジネスを支える。記憶媒体がもたらす気象データ活用の革新

人間の生活は、日々の天気と無縁ではいられない。ビジネスも同様で、気象データに基づいた電力需要予測を行ってオフィスや工場の停電リスクを軽減したり、天気に応じて衣料品や食品・飲料、家電など小売店の在庫量を調整したりするなど、気象のビッグデータのビジネス活用が各業種で加速している。

こうした気象データのビジネス活用で注目を集めるクロステックのひとつが、気象情報サービスを展開するウェザーニューズ社の「ウェザーテック(WxTech)」だ。そして、天気予報の予測精度が近年上がってきた背景には、膨大な気象データを活用できるクラウドコンピューティングの進化がある。

このビッグデータのシステムを支えるのが、大容量・高速・低消費電力を実現するフラッシュメモリ・SSD(ソリッドステートドライブ)のリーディングカンパニー、キオクシアだ。

ウェザーニューズ社のウェザーテックとキオクシアの記憶媒体技術、立場は違えどデータ活用でビジネスのDX(デジタルトランスフォーメーション)を進化させる両社。ウェザーニューズ社 テクニカルディレクター 西 祐一郎氏と、キオクシア SSD事業部SSD応用技術部 部長 濱田 誠氏が、気象ビッグデータ活用の今と、データ活用がもたらす社会の変革のかたちを語り合った。

天気はビジネスに直結する。雨による客足減少予測から長期予測で製造調整まで

──お天気アプリ「ウェザーニュース」を展開し、世界最大手の気象情報会社であるウェザーニューズ社ですが、そうした気象予測データはどのように、ビジネスに活用されているのでしょうか。

西 近年は情報通信技術を駆使して産業を変革、デジタル×リアル融合のビジネスを表す「クロステック」という言葉が話題にのぼりますが、ウェザーニューズ社の事業はまさにその中心を行くもので、気象データを活用して新たなビジネスを生み出す仕組みを、私たちは「ウェザーテック(WxTech)」と呼んでいます。

 2020年6月から始まったウェザーテックサービスでは、従来5kmメッシュだった予測レベルを、1kmメッシュまで狭めることで精度を高め、さまざまな企業に役立てていただいています。

 農業では、気象IoTセンサー「ソラテナ」を設置することで、気温・湿度・気圧・照度・紫外線・風向・風速・雨量の精緻なデータを得ることができ、根腐れや病気などによる農作物のダメージに、事前に薬剤散布判断などの対策が打てるようになりました。