大容量化、高性能化の技術革新を経て、今ではフラッシュメモリを多数搭載したSSDのデータセンターでの活用が広まっています。これまでデータ活用の基盤となる記憶媒体は、磁気ディスクを使用したHDD (ハードディスクドライブ)が主流でしたが、応答速度や性能を重視する用途にフラッシュメモリが搭載されているSSDの使用が進んでいます。HDDに比べて低消費電力であるという利点は、データセンターの低消費電力化にも貢献しています。

 ウェザーニューズ社など企業のデータセンターや、機械学習の現場でも広く使われているはずです。西さんがおっしゃったように、気象データは求められる解像度に比例して扱うデータ量も大きくなり、しかも、即時性が求められる予報において、膨大なデータを使った演算を速く行うという要求は、日々高まっているのではないかと思います。AIやディープラーニングを活用するようになると、さらに演算におけるメモリー負荷は上がります。一般的な方の目に直接触れることは少ないですが、私たちキオクシアは、そんなコンピューティングの進化をフラッシュメモリ技術で支えています。

西 日本には四季があり、災害大国でもあります。収集できる気象データがさまざまに増え、過去データも必要となると、大容量保存ができ、かつ早く取り出せる記憶媒体技術は欠かせないと思います。

「ウェザーニュース」のアプリは累計3500万ダウンロードを超えています。たとえば一気に100〜200万人に地震速報を送信するとき、HDDでは時間がかかります。今はSSDの技術革新で、瞬時の送信が可能になりました。そうした高速処理のニーズは、さまざまな業界で必要とされていると思います。

ビッグデータの活用が人々の生活とビジネスを支える。記憶媒体がもたらす気象データ活用の革新

気象ビッグデータ活用が未来社会を刷新する

──気象予測と記憶媒体、立場は違えど、どちらもビッグデータで社会経済を発展させようという試みに感じます。

西 見えなかったものを見えるようにする。それこそがビッグデータ活用の意義だと思います。データだけを提示しても、一般の人には何も見えないので、わかりやすく可視化する必要がある。それが情報技術なのだと思います。

濱田 そうですね。手間とコストをかければ、さまざまなデータを多数取得することができます。そこで課題となるのは、ビッグデータを誰がどう使うかということではないでしょうか。

 現在、全世界で1年間に生成されるデータは80ゼタバイト (10の21乗)を超えると言われており、近い将来には200ゼタバイトに到達するでしょう*。しかしその莫大なデータのなかで、実際に活用されているのは5%にも満たないという試算もあるのです。

 *Source: IDC Worldwide Global DataSphere Forecast 2021-2026 IDC #US49018922 (May 2022)