首都圏に近い立地優位性や独自の優遇制度を武器に、積極的な誘致活動に取り組んでいる茨城県。圏央道沿線の県南・県西地域を中心に多くの企業が立地し、大型案件も次々に決定。企業誘致のターゲットは、半導体や次世代自動車など今後の成長が期待できる分野。優良企業を魅了する茨城県のポテンシャルを検証する。

 日本全国で屈指の企業立地・企業誘致力を持っている茨城県。経済産業省の工場立地動向調査(2021年通年)によると、茨城県は県外企業立地件数で全国第1位(※1)、工場立地件数と工場立地面積で全国第2位となっている。特に県外の企業にとって、茨城県のビジネス環境はとても魅力的なのだ。

なぜ、茨城県が選ばれるのだろうか。

 マーケティング調査(※2)によると、事業拠点としての茨城県のイメージとして、「常磐道・圏央道等の交通インフラが整っている」「都心近くの良好なロケーションである」「廉価で多様な産業用地がある」などの項目が上位に来ている。その一方で、企業が事業拠点の候補地として重視する項目は、「市場や取引企業への近接性」「従業員の確保のしやすさ」「本社・自社拠点との近接性・アクセス」などである。つまり茨城県は、企業が求める事業拠点の要素を十全に備えているのだ。

 地域別立地動向を見ると、茨城県の中でも特に県南と県西地域の人気が高い。首都圏に隣接するこれらの地域は、大消費地への近接性からすでに多くの企業立地があり、圏央道の県内区間の全線開通以降、企業からの引き合いも増えている。今後、圏央道の県内区間の4車線化も予定されており、さらに立地需要が高くなることが見込まれている。

圏央道の県内区間は全線開通済みで、利便性はさらに高まっている

 交通インフラでいえば、県内にはグローバル展開の拠点となる茨城港・鹿島港という重要港湾があり、首都圏3番目の空港である茨城空港はもちろん、成田国際空港へのアクセスも良好だ。

国際港湾として発展する茨城港常陸那珂港区

 加えて、茨城県は土地の価格が安価であることも大きな魅力となっている。国土交通省の都道府県別・用途別平均価格によると、22年の茨城県の「工業地」の平均価格は2万900円/平方メートル。同じ圏央道が通る千葉県(5万8000円)や埼玉県(6万7900円)と比較しても、土地価格の優位性が際立っていることが分かる。

※1経済産業省「工場立地動向調査2021年通年(1月~12月)」による
※2「令和4年度 茨城の産業イメージアップ事業(マーケティング調査)調査報告書」東京商工リサーチ調べ