優遇制度を背景に
大型案件の立地が増加

最先端産業、本社機能移転。立地優位性を生かし、成長分野の誘致を促進「次世代産業集積・カーボンニュートラル強化プロジェクト事業補助金」「本社機能移転強化促進補助金」認定式。左からトクヤマ岩崎史哲取締役、キヤノン武石洋明専務執行役員、大井川知事、昭和電工マテリアルズ髙橋秀仁代表取締役社長(2023年1月よりレゾナックに社名変更)、セネック和歌幸蔵取締役会長

 さらに企業誘致活動を強化するため、独自の優遇制度を充実させているのも茨城県の大きな魅力だ。まず、半導体や次世代自動車関連など、今後大きな成長が見込まれる最先端産業の生産拠点の誘致を加速するため、「次世代産業集積・カーボンニュートラル強化プロジェクト事業補助金」を創設。さらに地方創生の大きな柱となる本社機能移転の誘致に向けて、「本社機能移転強化促進補助金」を創設している。

 前者では昨年、キヤノンと昭和電工マテリアルズ(現:レゾナック)の2社の設備投資に対して補助金認定を行い、後者では新たにトクヤマ、セネックの2社に対して補助金認定を行った。

最先端産業、本社機能移転。立地優位性を生かし、成長分野の誘致を促進TSMCジャパン3DIC研究開発センターでは、半導体技術の新たな推進力が期待される

 大型案件では、車載用リチウムイオンバッテリー業界で世界有数のエンビジョンAESCの茨城中央工業団地への立地がある。県では、同社の事業をカーボンニュートラルに向けた先導的な取り組みと捉え、最大限の支援を行うべきだと判断。最終的に知事のトップセールスによって立地決定に至っている。

 また非鉄金属の大手企業であるJX金属のひたちなか市への生産拠点の立地がある。同社は半導体用スパッタリングターゲットで世界シェア6割であり、その事業展開は国内のデジタル産業基盤の強靭化に寄与すると期待されている。

最先端産業、本社機能移転。立地優位性を生かし、成長分野の誘致を促進EL APSCとの包括連携協定を締結した大井川和彦知事(左)とエスティローダーのフィオーナ・モーガンバイスプレジデント

 台湾に本社を持つTSMCは、茨城県つくば市の産業技術総合研究所(産総研)内に日本初の研究開発拠点「TSMCジャパン3DIC研究開発センター」を開設。「3次元実装」に向けた研究開発を加速していく。

 この他、世界的な化粧品メーカーのエスティローダー カンパニーズの子会社で、アジア太平洋地域の生産・物流を統括するEL APSCが、アジア太平洋地域における新しい生産拠点として本社機能を有する工場を下妻市に建設中。また、県とEL APSCは、女性活躍の推進や多様性を認め合う社会の実現を目指すことで一致したことから、包括連携協定を締結し、その取り組みを相互連携で推進する。

成長事業に適した環境等を提供します

最先端産業、本社機能移転。立地優位性を生かし、成長分野の誘致を促進

大井川和彦 茨城県知事

 本県は、首都圏に近接し、4本の高速道路や重要港湾、空港等の充実した交通インフラや、つくばの研究機関の集積など、優れた事業環境を有することに加え、充実した生活環境も整っております。また、本社機能移転に対する最大50億円の補助制度に加え、半導体や次世代自動車など最先端産業の生産拠点の整備に対する補助制度を創設するなど、企業誘致を最重点施策として取り組んでおります。
 その結果、経済産業省の工場立地動向調査では、県外企業立地件数が5年連続で全国第1位となるなど、全国トップクラスの実績を上げております。
 今後も、本県の発展のため、半導体や次世代自動車など、大きな成長が見込まれる最先端産業をはじめとして、さまざまな業種の企業誘致に積極的に取り組んで参ります。