偽物が多く、「本物」を調達するのに苦労した
ノルデステは、日本国内でいち早くNMNの研究を開始し、法的に食品として認められる筋道を作ったパイオニアとして知られている。阿部朋孝社長に当時の様子や現在の市場動向、今後の方針などを聞いた。
――御社は早期にNMNに注目し、製品化したパイオニアと言われています。製品化した理由と経緯を教えてください。
われわれは、もともとサプリメントに使われる原材料の輸入卸を手がける企業でした。いわゆる「裏方」の歴史が長かったので、何か自分たちのオリジナル商品を直接お客さまにお届けしたいと構想していました。そんなとき、15年に放送されたテレビ番組「NHKスペシャル」で『寿命はどこまで延びるのか』という放送回を見て、すごい素材があるなと感心し、原材料の調達を試みたのがNMN製品の製造販売を始めたきっかけです。
阿部朋孝(あべ・ともなり) 代表取締役
現会長の父と、ブラジル人薬剤師の母を持ち、幼い頃から漢方薬やメディカルハーブなどのヘルスケア文化に接する。五大陸全ての国々の原料生産者たちとの交商ネットワークを形成。薬草やアミノ酸など800種類以上の原材料リストから、有用成分をテストするのが趣味。
――NMN製品の販売は19年からですね。15年からの5年間、どのようなご苦労がありましたか。
一番難しかったのは、“本物”の原材料の調達先を見つけることでした。仕事柄、原材料の調達にはたけている方でしたが、簡単ではありませんでした。本物であることの証明として、分析試験のデータなどを要望しても出てこないんです。先方は「もちろん、本物ですよ。一筆書きましょうか」と言ってくるわけですが、そんなものを「はい、そうですか」と受け入れることはできません(苦笑)。
当時はまだNMNがブームになる前でしたが、偽物があまりにも多く、信頼できる調達先を見つけるのに「非常に骨が折れる」と思ったことを覚えています。
――当時「偽物が多かった」とのお話ですが、NMNの偽物はそんなに多いのですか。
かつて米国の大手通販サイトで売られている22の製品で抜き打ち検査をしたところ、22製品中19製品、実に86%が、NMNが全く入っておらず代わりにナイアシンが入っていたとか、もしくは表示されているよりも量が少なかったという報告があります。日本でも原材料の価格から見て、絶対にあり得ないような安値のサプリメントが販売されているのをしばしば見掛けます。
――やはり、安過ぎる製品は疑ってかかった方が良いのでしょうか。
そうですね。本物ではないものを飲んで、「NMNってあまり意味がないんじゃないか」と言う方がいるのは、NMNを本気で扱ってきた当社からすれば歯がゆい思いがします。同時に、いい製品を作ってお客さまに届け続ける責任も感じます。
そもそも多くのメーカーは、“原材料は本物”であるということを前提に輸入し、製造販売しています。われわれは長年の経験から、疑ってかかり、科学的な試験を駆使して本物を精査して調達しています。