地方創生で“宇宙版シリコンバレー”を目指す
北海道大樹町の挑戦

企業の寄附で地方創生プロジェクトを活性化させ、社会へ貢献。〜全国の自治体で広がる「企業版ふるさと納税」受賞を喜ぶ大樹町の酒森正人町長(左)とSPACE COTANの小田切義憲代表取締役社長兼CEO(右)

 地方公共団体部門で大臣表彰を受賞した北海道大樹(たいき)町。同町には世界有数の宇宙基地としての地理的優位性があり、約40年前から航空宇宙産業の誘致を進めてきた。2021年4月から、運営会社として設立したSPACE COTANと共に、アジア初の民間企業に開かれた宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」を本格稼働。そのHOSPOのロケット発射場や滑走路の整備、宇宙スタートアップ企業支援の財源として、企業版ふるさと納税を積極的に活用し、23年2月までに全国から151件、11.4億円の寄附を集めた。

 同町では、寄附を通じてつながりを持った100超の企業・団体をサポーターとして認定、定期的にプロジェクトの進捗を報告するなど、継続的な関係を構築している。寄附を契機とした複数企業とのパートナーシップ協定締結もあり、観光事業や教育分野との連携によって、若年層が活躍できる多様な雇用を生み出すことも期待されている。

 大樹町の酒森正人町長は、「大樹町は財政規模の小さな自治体で、町の財源だけでは到底このプロジェクトは成立しません。国のデジタル田園都市国家構想交付金(地方創生拠点整備タイプ)と、企業版ふるさと納税があって初めて実現できます。これまでに多くの企業の皆さまのご理解と共感があり、多くの寄附が集まりました。今後は、宇宙港としてのHOSPOの機能を強化しながら、当プロジェクトを通じて生み出される経済効果を、北海道全体に波及させたい」と話す。

 SPACE COTANの小田切義憲代表取締役社長兼CEOは、「航空宇宙関連産業が集積して研究開発やビジネスが進展すれば、日本の社会課題の解決と経済発展にも貢献できます。寄附をしていただく企業からは、私たちのプロジェクトには“夢がある”とよく言われます。皆さんの夢をお預かりして、その夢を実現するのが私たちの仕事。今回の受賞を弾みにして、さらなる寄附を募りながら“宇宙版シリコンバレー”を実現させたい」と語る。

企業の寄附で地方創生プロジェクトを活性化させ、社会へ貢献。〜全国の自治体で広がる「企業版ふるさと納税」HOSPOの将来イメージ(画像提供/SPACE COTAN)
●問い合わせ先
内閣府 地方創生推進事務局
<企業版ふるさと納税ポータルサイト>
URL:https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/kigyou_furusato.html