特許技術によってユーザー・企業に寄り添ったサービスを実現
ハイブリッドワークの課題に応えるのが、ビーキャップが提供する屋内位置情報サービス「Beacapp Here」(ビーキャップヒア)だ。
これは、オフィス内に「ビーコン」と呼ばれる信号発信端末を設置し、社員がスマートフォンにアプリをダウンロードすることで、ビーコンが発信する信号をスマホが受信し位置が特定できるサービスだ。屋内位置情報サービス自体は目新しいものではないが、他社のサービスは、社員がビーコンを携帯し、その信号をオフィス内に設置した受信機でキャッチする方式を採用している。つまり、「Beacapp Here」の方式とは真逆である。
なお、「Beacapp Here」ではビーコン持ち歩き方式、およびスマホ持ち歩き方式とビーコン持ち歩き方式を併用した運用も可能であり、他社にはない選択の幅がある。
「他社の方式だと、オフィス内に高額の受信機を幾つも設置しなければならず、オフィスの規模によっては初期投資が数千万円に上ることもあります。その点、『Beacapp Here』なら、オフィス内には安価なビーコンを設置し、社員が支給されているスマホを受信機として利用できるので、導入コストを他社方式の10分の1程度に抑えられます。ビーコンはデスクの裏などに取り付けるだけですので大がかりな工事も不要、短期利用の場合に撤去も容易です」と岡村社長は説明する。
大幅なコストダウン、導入の手間の削減を可能にしたのが、ビーキャップの特許技術だ。通常スマホを受信機とする場合、ダウンロードしたアプリを毎日あるいは定期的に再起動する必要があるが、「Beacapp Here」はその必要がない。初期ログインをしたままバックグラウンド状態でアプリを起動させておけば、問題なくビーコンの発する信号を受信し、位置情報を検知することができる。
「他社はこの技術を持っていないので、検知率を守るためにもスマホを受信機とする方法を採用できず、社員には常時信号を発信し続けるビーコンを携帯させなければなりません。結果的にオフィス内に高額な受信機を設置せざるを得ず、コスト高になってしまうのです」(岡村社長)
スペースごとの利用状況や、社員のオフィス活用状況を可視化する
「Beacapp Here」には会議室やワーキングスペースなどを予約できる「ホテリング機能」も標準装備されている。予約者が入室すると位置情報によって自動的にチェックインし、予約したのに30分以上スペースが利用されないと、ビーコンがそれを検知して自動的に予約がキャンセルされる。オフィススペースの管理も格段に楽になる仕組みだ。
屋内位置情報システムを使えば、「社員がどこにいるか?」だけでなく、オフィス内を「どのように活用しているのか?」も把握できる。
ワークスタイルデザイン室 寺澤草太氏
そのメリットを生かし、同社はワークスタイルのコンサルティングなどを手掛ける三井デザインテックと共同で、オフィスワーカーの働き方やオフィスの活用状況を可視化する分析ツール「Beacapp Here Pro」(ビーキャップヒア プロ)を開発した。
「スペースごとの利用状況や、社員の移動状況などを分析することで、働き方の状況把握や働きやすく効率のいいオフィスになっているかを検証するためのツールです」と語るのは、共同開発に携わった三井デザインテックの寺澤草太氏である。
「近年、働き方やオフィスの改革をしたいという企業が増えています。『Beacapp Here Pro』では、こうした改革の効果が十分に得られているかどうかを可視化・検証することもできます」(寺澤氏)