世界が直面するサステナビリティへの課題に「サイエンスの力」で挑むスリーエム ジャパン
永野靖彦 コーポレートサステナビリティ担当部長

社会や経済の急速なデジタリゼーション、気候変動に代表されるサステナビリティ(持続可能性)への脅威、国や企業の成長を停滞させ、社会コストを増大させる少子高齢化。世界や日本が直面するこれらのメガトレンドに真正面から挑み、「サイエンスの力」で卓越した“答え”(製品)を提供しているのが3Mだ。「3M Forward」を掲げ、その取り組みをさらに加速させていく。

120年前からESG経営を実践する先駆者

 1902年に米国ミネソタ州で創業し、いまや世界約70カ国・地域で事業を展開する3M。一般消費者にはポスト・イットノート、スコッチテープなどの文具や、キッチンスポンジをはじめとする日用品でおなじみだが、工場で使用される研磨材や防塵マスク、自動車や電子製品を製造するための接着剤や両面テープ、聴診器や歯科用の充塡剤など、産業や医療、暮らしに関わる約6万種類もの製品を提供している。

世界が直面するサステナビリティへの課題に「サイエンスの力」で挑む
3Mは四つのビジネスグループにわたって、6万品目を超える製品を展開している
拡大画像表示

 日本で事業を展開するスリーエム ジャパン(以下、3Mジャパン)は1960年に設立。外資系メーカーとしては珍しく、国内に二つの研究開発拠点と五つの製造拠点を置き、国内企業や消費者のニーズをしっかりくみ取った製品作りを行っている。

 その3Mが2023年5月、「3M Forward」を掲げ、企業活動や製品作りを通じて行ってきた社会への貢献をさらに「前進させる」姿勢を明らかにした。

 実は3Mには、創業間もない頃から社会貢献を念頭に置きながら事業に取り組んできた歴史がある。しかも、それは常に時代に先駆ける取り組みであるとも言われている。

 なぜ3Mは創業以来120年以上もESG(環境、社会、ガバナンス)経営を実践し続けられたのか。次ページからはその具体的な取り組みを見ながら、同社のESG経営の両輪を成す企業文化とマネジメントの仕組みを詳しく紹介する。