もちろん、サステナブルな価値を持った製品など、メガトレンドに対応する製品作りにも「サイエンスの力」は存分に生かされている。
例えば、「3M グラスバブルズ」という直径わずか数十ミクロンの微小中空ビーズ。微小ながら中空となっており、自動車のボディなどに充塡剤として使用すると車体を軽量化できる。ガソリン車やディーゼル車であれば燃費の向上、EV(電気自動車)ならバッテリー消費の抑制に貢献することになり、結果的に温室効果ガスの排出を減らす効果が期待できる。
また、建材として用いられる「3M ダイノック フィルム」は、化粧フィルムながら石材や木材と見まがうほどのデザイン性を備えていることが特徴だ。本物の石や木の使用を減らせるので資源保護につながり、輸送が容易なのでトラックによるCO2排出も削減する。
サステナビリティに長く取り組んできた3Mには、社員がそれを「当たり前」と考え、普段から意識もせず、サステナビリティを織り込んだ事業活動を行っているという企業文化がある。
「特に3Mジャパンでは、研究・開発や製造だけでなく、営業や管理部門もISO14001の対象となっており、お客さまへの営業活動でも、サステナビリティを踏まえた製品やソリューションの提案を日常的に行っています」と永野部長は語る。そうした企業文化が、3Mのサステナビリティ活動を永続的に支え続けていくのだろう。
永野部長は、「当社の研究開発拠点に理系女子学生を招いてリテラシー向上を支援するなど、『Science for Community』の活動も積極的に行っています。これからも多方面にわたる取り組みによって、社会全体のサステナビリティ実現を支援していきたい」と語る。
「3M Forward」の始動とともに、取り組みはますます活発化しそうだ。
3Mのサイエンスを体験できる「カスタマーテクニカルセンター(CTC)」がリニューアル
3Mのサイエンスを体験できる顧客向け施設「カスタマーテクニカルセンター(CTC)」が6月1日にリニューアル。前日の5月31日には、プレス向けの公開ツアーが行われた。CTCは、3Mジャパン最大の研究開発・製造拠点である相模原事業所に併設。グローバル第1号として1997年に本施設がオープンした後、CTCは世界に広がり、現在では35カ国で48施設が展開されている。一般公開されていない顧客向けの施設となるが、開設から累計で17万人が訪問したという。
CTC内には同社のサイエンスを実際に体験できる展示を多数用意。施設ツアーの案内人全員が技術者であることも特徴で、3Mのテクノロジープラットフォームを実際に体験・理解してもらい、顧客の課題解決のきっかけづくりを提供することを目指しているという。
今回のリニューアルでは、時代の急速な変化やメガトレンドに応えるべく、従来のアナログ中心の展示にデジタルをハイブリッド。3Mの多岐にわたるサイエンスの本質をより分かりやすく伝え、提案機能も強化した。また、コロナ禍以降に開始されたオンラインを通じてのバーチャルツアーも強化されたとのことだ。プレスツアーでは、「3M Forward」に沿って、「デジタリゼーション」「サステナビリティ」「人手不足に寄与するオートメーション」という切り口から、同社のテクノロジーの展示・紹介が行われた。