トップ5%社員の多くが活用している読書ツール
記憶の定着を促す越川氏の使い方とは?

「トップ5%社員の皆さんは、読書は情報収集の手段としてコスパが高いと言います。有料の本に書かれている情報は、Google検索しても出てくるものではありません。検索で得られる情報では、他者との差別化ができない。インフォメーション(情報)ではなくインサイト(洞察力)を身に付けるには、本が一番だと言うのです」

 とはいえ、読書の重要性は理解していても「読書時間の捻出」や「習慣化」は慣れない人にとっては難しい作業である。しかし、越川氏は数多くのビジネスパーソンへのインタビューを通して、複数のトップ5%社員がある読書ツールを利用していることに気付く。それがAmazonオーディブル(以下、Audible)だ。

 Audibleは、一言で言えば「聴く読書」。現在、世界10カ国で展開される世界最大級のオーディオエンターテインメントサービスだ。プロの声優や俳優がビジネス書や文学書などを朗読。Audible会員であれば、12万点以上の対象作品(オーディオブックやポッドキャスト他)を、月会費1500円で聴き放題で楽しむことができる。

「トップ5%社員の多くは有酸素運動を習慣化しています。その30分程度のジョギングやウォーキングのときに、Audibleを聴いている方が多かったんです。Audibleの良い点は、読書が苦手な方でも、音楽と同じようにエンターテインメントとして利用しながら、情報を耳から効率的にインプットできること。読書時間の捻出と無理のない習慣化を同時に行えるんですね」

17万人を分析して分かった、年平均48.2冊を読破する「トップ5%社員」の読書術とは?

 そんな越川氏も、Audible歴7年のリアルユーザーだ。自身が経営する会社のオフィスを無くして完全リモートワークにしたことを機に、リフレッシュとインプットを兼ねてジョギングしながらAudibleを聴くことを習慣化。聴く読書の大きなメリットは、目からよりも耳から入る情報の方が記憶に定着する率が高いことだという。

「知らない単語は、耳から入ってきた方が記憶に“引っかかり”やすい。例えば“ChatGPT”など、テクノロジー系やトレンド系の新しい語彙は、耳から聴く方が覚えやすいんです。Audibleでビジネスの専門書を聴くときは、そんな効果もあると思います」

 さらに越川氏のAudibleの使い方はユニークだ。リアル読書の復習として活用し、さらに記憶への定着を促している。

「私の場合、年間で300冊以上の本を速読や瞬読で読むため、紙の本を読んでからAudibleで“復習”することがよくあります。読書は読み返さないと長期記憶に入らないので、復習することが大切なんです。Audibleは全ての文章を読んでくれるので“精読”ともいえます。つまり、Audibleは私が速読で読み落としたところや獲得できなかった部分を補ってくれるのです」