首都圏に近いアクセスの良さと
安価な用地が優位性

 茨城県は日本でも屈指の企業誘致力を持っている。それは客観的な数値からも明らかで、経済産業省の工場立地動向調査(22年)によると、県外企業立地件数(40件)と工場立地面積(116ヘクタール)で全国1位※1、同立地件数(60件)で全国2位と、全国トップクラスの実績を誇っている。特に県外の企業にとって茨城県は魅力的な立地環境なのだ。

圏央道の県内区間は全線開通済みで、県内区間4車線化が予定され、利便性はさらに高まっている

 帝国データバンクの調査結果※2によると、事業拠点としての茨城県のイメージのトップは「常磐道・圏央道等の交通インフラが整っている」(50・1%)で、次いで「都心近くの良好なロケーションである」(42・8%)、「全国有数の産業集積地である」(33・3%)と続く。工場立地を探す企業にとって、茨城県は「交通インフラの整った産業集積」の土地であるというイメージが根付いていることが分かる。

 また事業拠点の候補地として重視する項目については、「本社・自社拠点との近接性・アクセス」「市場や取引企業への近接性」「用地の価格や面積」「電車・高速道路・港湾等の交通網の利便性」を挙げる企業が多い。茨城県はそのいずれの項目も高いレベルで満たしているのだ。

国際港湾として発展する茨城港常陸那珂港区

 地域別の立地動向を見ると、首都圏に隣接する県南地域の人気が高い。大消費地への近接性からこれまで多くの企業の立地があり、圏央道の県内区域の4車線化も予定されていることから、県西地域を含めて引き続き立地の需要は高いと予測されている。県北・県央地域では、半導体関連企業の集積などの事業環境が評価され、ひたちなか市を中心としてさらなる集積が進んでいる。

 交通インフラに関しては、利便性の良い圏央道に加えて、グローバル展開の拠点となる茨城港・鹿島港という重要港湾があり、茨城空港や成田空港へのアクセスの良さも見逃せない。良好なアクセスに加えて、県外企業を引き付けているのは用地価格の安さだ。国土交通省の都道府県別・用途別平均価格によると、23年の茨城県の「工業地」の平均価格は2万1400円/平方メートル。同じ圏央道が通る千葉県(7万8000円)や埼玉県(7万100円)と比較すると、用地価格の優位性が際立っている。さらに独自の優遇制度の充実ぶりにも注目したい。成長が見込まれる最先端産業の生産拠点を誘致するための「次世代産業集積・カーボンニュートラル強化プロジェクト事業補助金」をはじめ、本社機能移転の誘致に向けて「本社機能移転強化促進補助金」などが用意されている。

※1 経済産業省「工場立地動向調査 2022年(1月~12月)」による ※2 帝国データバンク「令和5年度  茨城の産業イメージアップ事業 (マーケティング調査)調査報告書」