ダイキン工業が、東日本初となるエアコンの生産拠点を圏央道インターパークつくばみらいに決定。ダイキン工業の十河政則代表取締役社長兼CEO(写真左)と大井川知事

大型立地案件が続々と決定
人材確保支援も魅力

 こうした環境の整備を背景に、近年茨城県では大型の立地案件が続いている。「圏央道インターパークつくばみらい」では、都心へ近接し、最先端の研究機関が集積するつくばの利点から日清食品が同社で国内最大規模の生産能力を有する新たな製造工場の建設を決定したほか、ダイキン工業が同社で東日本初のエアコン生産拠点の新設を決めている。「茨城中央工業団地」では、車載用リチウムイオンバッテリー業界の大手であるAESCジャパンが世界のマザープラントとなる新工場を完成させ、第二・第三棟の建設も計画中。世界大手のコンサルティング企業のキャップジェミニは、つくば市のオフィスビルに立地を決定した。

 このように企業の立地ニーズが増加しているため、茨城県では圏央道へのアクセスに優れた「フロンティアパーク坂東」の開発も進める。また「未来産業基盤強化プロジェクト」を立ち上げ、市町村の開発計画の支援にも取り組んでいる。

インターナショナルスクール(グローバル・インディアン・エデュケーシ ョン)が2024年夏ごろに旧筑波小学校(つくば市)において開校予定

 もう一つ、茨城県で優位性があるのは手厚い人材確保支援だ。県内には従来、情報・工学系の教育機関が充実しており、23年4月には「県立つくばサイエンス高校」や、全国初のIT専科高校「県立IT未来高校」が開設された。県では新たに立地する企業と高等学校などをマッチングするための企業説明会のほか、新卒者や中途採用者向け就職面接会などを開催し、人材確保のサポートに尽力している。また筑波大学には世界中から優秀な人材が集まり、多くのベンチャー企業が生まれているほか、企業との共同研究などの産学連携が積極的に進められている。そのつくば市には、外国人研究員らの子弟が通うインターナショナルスクールがあり、新たに開校するものもある。

 さまざまなメリットを持つ茨城県の企業立地。大井川和彦知事の熱心なトップセールスもあって、県外企業からの関心はますます高まっている。

企業立地事例 2日立ハイテク

スマート工場を建設し
ものづくり体制を強化

日立ハイテク
評価システム製品本部
矢野 学 本部長

 ひたちなか市に二つの製造拠点とデモ・協創拠点を構える日立ハイテクは、日立グループのハイテク分野有力企業として、半導体計測・検査装置、電子顕微鏡などの解析装置、医用分析装置、バイオ関連製品などの製造販売、社会・産業インフラ分野におけるソリューションを提供する。

 

 同社評価システム製品本部の矢野学本部長によると、2021年3月に竣工した新工場「マリンサイト」(ひたちなか市新光町)は、半導体製造工程で用いられるインライン計測、計測装置の設計・製造、および研究室などで用いられる汎用の電子顕微鏡の設計・開発を担う最新鋭スマートファクトリー。再生可能エネルギーの利用と太陽光パネルの設置などにより脱炭素も実現している。

約300億円を投じて完成した「マリンサイト」。IoTを活用した最新鋭のスマートファクトリーだ

 

 矢野本部長は、この地にマリンサイトを建設した大きな理由を二つ挙げる。一つは「交通の便の良さ」。常磐・東北・関越自動車道を結ぶ北関東自動車道や主要国道に近く、大型船舶に対応する港も利用できる。「それでいて海抜は33㍍あり津波の心配がありません。振動を嫌う超精密な製品を製造するので閑静な場所という条件にも合っています」。もう一つは、企業規模を問わず優秀な企業が集積していることだ。「近隣には当社と長くお付き合いいただいているサプライヤーさんがたくさんおられます。そのコネクションを維持して、より強いものづくり体制をつくりたかった」(矢野本部長)。

 

 リモートワークが定着した今、開発はどこででもできる。だが、製造拠点に適したエリアは意外に少ない。同社は茨城県に根を下ろした企業として発展していく覚悟だ。

●問い合わせ先
茨城県立地推進部立地推進課
〒310-8555 茨城県水戸市笠原町978-6
TEL 029-301-2036
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