経営陣と従業員の
ギャップを埋めるには
山本:当社では、理念経営の加速をバックアップする新たなプロダクトを開発しました。それが2023年夏にリリースした「Yappli UNITE」(ヤプリユナイト)です。このYappli UNITEは、アプリ開発プラットフォームの「Yappli」で培ったノウハウを、従業員エンゲージメントを高めるための社内向けアプリに特化させたものになっています。
経営陣と従業員のギャップに悩む企業があると先ほど申し上げましたが、それを埋めるためには、企業理念を日常化させていく工夫が必要です。アプリを使って日々の業務を遂行する中で、Yappli UNITEならば、社長ブログや経営陣のメッセージ動画、創業ヒストリーといった、企業理念の浸透に不可欠なコンテンツをメディア機能によっていつでも見ることができます。また、社内イベントをアプリでサポートする機能もあり、リアルとオンラインの両方でコミュニティの活性化に役立ちます。社員がみずからいつでもどこでも学べるナレッジコンテンツ機能もあります。このように、日々の業務遂行から、企業理念の浸透、カルチャーの醸成、学び合いに至るまで、オールインワンで実装できるアプリです。従業員の使いたい機能と経営陣の伝えたいことを織り交ぜ、肩肘を張らずに企業理念の浸透を実践できます。
スマートフォンアプリであることから、アクセス頻度が高いのも特長です。場所と時間を選ばず、たとえばセールスパーソンならば移動の電車内でも使えますし、店舗スタッフやドライバーならば、ちょっとした休憩時間に閲覧したり、情報発信したりすることができるのです。
佐宗:理念の浸透には、やはり企業理念を自分事としてとらえることが大切ですね。そのためには、使い勝手のよいアプリなどのツールはとても重要ですが、それ以前に、企業理念が明確に伝わるナラティブなストーリー、つまりは「物語」が大切です。物語の共有は、組織への愛着を再認識させますから。
たとえ刷新したばかりの企業理念であっても、額に入れられた標語のままではけっして浸透しません。生きた物語として、従業員を含めた多様なステークホルダーにいかに共感されるか。物語力が問われています。
山本:当社では、社長ブログの中で創業のきっかけや、アプリ開発秘話、資金調達の苦労、株式上場への道のりに至るまで、企業理念に裏打ちされた物語を綴っています。会社設立から10年の節目を迎えた2023年には、今後10年の展望も含めて、社長みずからが企業理念への思いを語り直しました。
佐宗:自分の会社がどこから来て、いまどこに立ち、これからどこへ向かうのか、企業理念に裏打ちされた物語として語ることは、さらなる成長に不可欠な求心力と遠心力を強化するうえでもとても重要です。過去と現在と未来をていねいに紡いでいけば、その過程で自社の強みを再確認し、オリジナルな価値創造ストーリーが生まれるはずです。