多くの社会課題を抱え、「課題先進国」ともいえる日本。こうした難しい課題に向き合い、大きなインパクトを創出しようとしているのが、PwCコンサルティングだ。その取り組みについて、同社代表執行役CEO(2024年7月1日就任)の安井正樹氏と、公共事業部門兼Social Impact Initiativeリーダー(2024年7月1日に常務執行役 パートナー プラクティス本部 兼 クライアント&インダストリー就任)の宮城隆之氏に、「週刊ダイヤモンド」元編集長の深澤献が聞いた。
経営課題や社会課題の解決を通じてパーパスを体現する
――日本は今、さまざまな社会課題を抱え、国も地方自治体も思うように解決できずに悩んでいます。それにあえて御社のような営利企業が取り組むことには、どのような意義があるのでしょうか。
安井 コンサルティングファームだからこそできるアプローチは、二つあると思います。一つは、私たちが本業としてクライアントの経営課題を解決しながら、その先にある社会課題を解決するというアプローチ。もう一つは、クライアントと一緒になって社会課題を解決するというアプローチです。
PwCグローバルネットワークでは「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というパーパスを掲げていますので、クライアントが向き合っている経営課題や社会課題を解決することは、こうしたパーパスの体現であると考えています。
――それぞれ具体的な例を挙げていただけますか。
安井 前者に関しては、エネルギーシフトへの対応が典型例です。化石燃料から水素やアンモニアといったエコなエネルギーにシフトする中で、新しいビジネスチャンスやマネタイズの可能性を見いだしているクライアントもいます。そうしたとき、当該企業の経営課題のみならず、社会課題の解決まで見据えた方策で支援することになります 。
後者については、例えば、ある企業が「地方の課題を解決しながら事業としても成功させたい」と考えたとします。その際に、「課題の本質は何か」「どう解決するか」「(持続性を持たせるために)いかにマネタイズできるのか」を見つけるのに苦慮されているケースが多くあります。
PwCコンサルティングは、さまざまな自治体を支援してきたこれまでの経験から「この地方にはこんな課題がある」という本質をピントが合った状態で理解しています。さらに、地域によっては金融機関や商工会議所、経済団体などとも深い関係を持っています。そうした基盤をベースに、クライアントに対して「地域の脱炭素に取り組みましょう」とか「地域に越境ECのプラットフォームを作りましょう」といった提案ができるのは、現場に密着して地域共創の取り組みを行っているPwCコンサルティングならではの強みと自負しています。