社会的インパクトがもたらす財務的価値の定量評価が鍵

――とはいえ、さまざまな参加者から成る社会課題解決のプロジェクトを前に進めていくのは、かなり大変でしょうね。

宮城 社会課題に近いところで活動しているNPOや財団法人、社団法人、自治体などの組織と、当社のクライアントのような大企業とでは、社会課題に取り組む目的が違います。それぞれの組織に寄り添いながら、共通のパーパス作りをお手伝いできることが、私たちの価値ではないかと思っています。

 企業にとっては、やはり投資対効果を無視できないので、他の参加者の思いに共感はしても、それだけでは長続きさせるのが難しい。かといって、NPOや財団などの組織に投資対効果を求めるのは筋違いです。両者の方向性をどうそろえていくのか。言い換えれば、共通する課題や目的などをどうリフレーミングしていくかが重要だと思っています。

社会課題解決が生む経済インパクト――経営課題の先にある社会課題にまで挑む宮城隆之(TAKAYUKI MIYAGI)
PwCコンサルティング 常務執行役 パートナー プラクティス本部 兼
クライアント&インダストリー

――投資対効果を重視する企業が継続的に参加するためには、社会的インパクトがもたらす財務的価値をどのように定量評価し、KPIとして設定できるようにするかも重要ですね。

安井 おっしゃる通りです。すでに国や幾つかの機関などが、社会課題解決による社会的インパクトを財務的価値として定量評価するためのモデル作りを進めています。そうしたモデルを普及させることも、企業の社会課題解決への参画を促すきっかけになると思っています。当社としても、その普及の後押しをしていきたいですね。