六つのタイプのビジネスモデルが、これからの“勝ち筋”になる

――Business model reinventionの支援では、具体的にどのようなビジネスモデル変革を提唱しておられるのですか。

濱田 私たちは、新しいビジネスモデルについてグローバルでさまざまな研究を行っており、その中でも六つのタイプのビジネスモデルが今後の“勝ち筋”になっていくのではないかと考えています(図)。

10年以内の淘汰は不可避――今こそビジネスモデルを捨てて再発明に挑む図 Business model reinventionの六つのタイプ
拡大画像表示

 一つ目が「XaaS(Anything-as-a-Service)」。従来の製品や資産をオンデマンドのサブスクリプションサービスとして提供するビジネスモデルです。

 二つ目は「フィジカル/コネクテッド製品」。IoTを使い、アナログ製品またはデジタルプロダクトをコネクテッド製品に移行させることで、顧客体験を向上させるモデルです。

 三つ目は「デジタルプロダクト」。これまでフィジカルだった製品をスマートフォンのアプリやサービスとして提供する方法です。

 四つ目は「チャネル・ディスインターミディエーション」。これは、DtoC(Direct to Customer。メーカー直販)に代表されるような、顧客に製品を届けるまでのチャネルのモデルを変える方法です。

 五つ目は「エコシステム/プラットフォーム」。集合的に価値を創造し、共有する組織ネットワーク(エコシステム/プラットフォーム)を構築、あるいはそれに参加することで顧客ロイヤルティーを向上させるビジネスモデルです。

 そして六つ目が「バリューチェーンの転換」。包括的なカスタマージャーニー・ソリューションのために、バリューチェーンの特定のセグメントだけで対応するのではなく、既存の方法と違うやり方で幅広い製品・サービスを提供するモデルです。

 これら六つのモデルの中から、個社の状況ごとに最適なものを選び、実際にビジネスモデルを創り上げていくところまでを支援しています。

10年以内の淘汰は不可避――今こそビジネスモデルを捨てて再発明に挑む濱田 隆(TAKASHI HAMADA)
PwCコンサルティング 執行役員 パートナー 
ストラテジーコンサルティング Technology Strategy

――ビジネスモデルは選定したものの、いざ実行しようとすると、うまくいかないこともあるのではないかと思うのですが。

濱田 新しいビジネスモデルを取り入れても、百発百中で成功することはまずあり得ません。なので、「まずはこの範囲で試してみよう」と小さく始めてみるのがいいと思います。たとえ収益が上がらなかったとしても、その取り組みによって得られた知見は、必ず次に役立つはずです。

――実際にビジネスモデル変革を進めている事例を教えてください。

濱田 製造業では、自動車やエアコンなどの製品をサブスクリプション型で提供しようとチャレンジしているクライアントもいらっしゃいます。金融業では、実店舗で提供していたサービスをスマートフォンのアプリなどで提供しようとする動きがあります。