新たなケイパビリティーを蓄え、変革のテーマに織り込んでいく

――先ほど、「現在のビジネスでは10年後に自社が存続していないかもしれない」と考える日本の経営者が7割もいるという話を伺いました。裏を返せば、10年前には考えられなかったビジネスが、現在まさに生まれているということでもありますよね。

濱田 テクノロジーの進展が、変化の大きなドライバーになっているのではないかと思います。昔であれば、一つ一つのモノをインターネットにつなぐほどの通信料を家庭では負担できませんでした。現在は安価につないで、そこからさまざまなサービスを受けられる時代になっています。こうした進歩が企業のビジネスモデル変革を加速させているのです。

 また、グローバル化の進展とともに、他国のプレーヤーが次々に国内市場に押し寄せています。海外のプレーヤーは、新しいビジネスモデルで戦いに挑んできていることが多いので、自分たちが変わらなければ、他国のプレーヤーに事業環境を変えられてしまうというリスクも高まっているといえます。

――御社が企業のBusiness model reinventionを支援する上での強みは何でしょうか。

安井 まず、私たちは圧倒的に豊富な事例を持っています。Business model reinventionは経営に重大なインパクトをもたらす試みなので、事例が多いに越したことはありません。国内外におけるさまざまな業種の事例を持っているのは大きな強みだといえます。

 また、どんなに優れたビジネスモデルでも、あらゆる業界に通用するわけではありません。その点、当社には各業界のエキスパートが在籍しており、その業界に合ったビジネスモデルを提案できます。

――そうした力をさらに高めていくために、御社では今後どんな組織づくりを目指していますか。

安井 多くの企業と同じく、コンサルティング会社も、ややもするとサイロ化してしまいます。 クライアントに部門間のコラボレーションを提案するのですから、私たち自身も、よりいっそう組織横断型のコラボレーションを推進していきたいですね。これは代表執行役CEOを拝命した私に課せられたミッションだと思っています。

 また、世の中で注目されているトピックをいち早く見つけ、PwCコンサルティングやPwC Japanグループとして積極的に投資を行っていくことにも取り組んでいきます。今でいえば、量子コンピューターやブルーエコノミー(持続可能な海洋利用と経済発展を両立させる活動)、宇宙開発など、新しいお金の流れが動きだしている領域をいち早く捉え、それに対応できるケイパビリティーを蓄えて、投資をしていきたいと考えています。こうした新たなトピックも、今後のBusiness model reinventionのテーマとして織り込んでいくつもりですので、ぜひご期待ください。

――御社自身の中でもさまざまな変革が巻き起こっているのですね。本日はありがとうございました。

10年以内の淘汰は不可避――今こそビジネスモデルを捨てて再発明に挑む
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